各市町村で毎年実施されている防災訓練。那覇市は2011年の東日本大震災や昨年発生した熊本地震などを受け、昨年12月17日の訓練では訓練内容を知らせず、そのつど対応を判断する「状況付与型」を導入し、より実践的な内容に取り組んだ。市松山に完成した市津波避難ビルも活用した。市職員約320人のほか、関係機関62団体や市民ら約1500人が参加。前回の3倍増となり、市町村主催としては県内最大規模となった。訓練の内容を紹介する。(社会部・又吉俊充、浦崎直己)

状況記したカード配布 内容は事前に知らせず

 那覇市銘苅の市消防局本部庁舎で実施された市の災害対策本部運営訓練では、沖縄本島南東沖で震度6強の地震が発生し、その後津波が発生したと想定。対策本部で班に分かれた市各部が、ライフラインの切断や避難援助時の課題など起こり得る災害対応について確認した。

 今回はより防災実践力を身に付けようと、従来のシナリオ型に加え初めて「状況付与型」の訓練を導入した。刻々と変わる被害状況を記したカードが、およそ5~10分おきに参加職員に配布される。カードの内容は事前に知らせなかった。

 「大津波警報が発令された。取るべき行動は」「避難所の問い合わせが殺到」「車中泊状況をどう把握する」「自衛隊ヘリで救援物資を各学校の運動場に運びたいが、市民が避難している」など、カードの内容で職員がその都度対応を考え、各部長を通じて対策本部で報告した。

写真を拡大 災害対策本部の運営訓練で、刻々と変わる被害状況のカードを受けて対応を考える市職員ら=昨年12月17日、那覇市消防局本部庁舎

 市民防災室の上原立也室長は、状況付与型訓練の重要なテーマに「迅速な処理能力」を挙げる。大規模災害時には現場からの要請に対策本部が速やかに対応しないと事案がたまり、的確な判断が難しくなると説明する。「訓練を重ねてスムーズな本部運営を目指し、市民の生命財産を守りたい」と話した。
 このほか広域避難場所の新都心公園では、市消防や市立病院のほか県警、日本赤十字社沖縄支部などが参加する被災者の救出訓練があり、マンホールトイレ設置の実演などもあった。