【中部】モズク漁師が海底での作業時に使う潜水用マスク・通称「旭面」。酸素ホースで船上とつなぎ、タンクを背負わずに動ける機動性や視界の広さ、曇りの少なさが認められ、1970年代ごろから県内で利用者が増えている。しかし生産は10年ほど前に中止。修理ができずに困っていた浜比嘉島の漁師のために、嘉手納町の企業が、その思いを受け止めた。パーツの一つ一つを再現。海人の伝統の“命綱”が近く復刻される。(中部報道部・溝井洋輔)

愛用の旭面を着けるモズク漁師の(左から)新里清信さん、宮下政也さんと、復刻を手掛ける旭潜水技研の杉浦武さん=13日午後、うるま市勝連・浜漁港

 モズク漁師は仕事の大半が水深10メートルほどの海底。県内のモズク生産の約4割を占める勝連漁業協同組合の浜支部では、約50人の漁師の約9割が「旭面」の愛用者。漁師歴40年余のベテラン新里清信さん(69)と、おいで15年目の宮下政也さん(33)も旭面一筋でここまできた。

 新しい潜水マスクも出てきたが、鼻と口で呼吸できる旭面の使いやすさにはかなわない。マスク内で噴射される空気の角度も絶妙で曇りにくいという。

 生産中止になると、2人は自ら修理してきた。ホースにはタイヤのチューブ、ベルトには犬の首輪…。

 試行錯誤が続いていた1年前に救世主が現れた。

 わらをもつかむ思いで2人が嘉手納町の旭潜水技研を訪れると代表の杉浦武さんが親身に話を聞いてくれた。切実な訴えに心を動かされた杉浦さんは復刻を決意した。東京の町工場で金型を探し当て昨年4月に作業が始まった。新里さんは「旭面がないと仕事ができない。復刻はありがたい」と、目標とする3月末の完成を心待ちにする。

 杉浦さんはクラウドファンディングで資金支援を呼び掛ける。目標は100万円で締め切りは2月24日。サイトのURLはhttps://readyfor.jp/projects/10999