「長久先生」というのは、八重山古典民謡保存会の重鎮・宮良長久氏のこと。「-写真帳」というタイトルがつけられているが、ロングインタビューを基にしたれっきとした書籍である。

「長久先生の写真帳」南山舎・1080円

 でも確かに写真は面白い。鍛え抜かれた逆三角形のからだで馬車の車輪をバーベルよろしく持ち上げる姿、自転車競技でゴールテープを切る勇姿。「負きてーならんという気持ちだからよ。命限りやりきーよ。だから1番になれたさ」と言う。なぜレースに? との問いに「バノウ(私は)またアンジムヌ(あんなこと)好きやそー」。

 はたまた、仮装行列で女装してウクレレを弾く姿。結婚後ほどないころで、「妻は、恥ずかしいから出ないでと言ってたけど、(僕は)好きやそー(笑)」とおっしゃる。かと思えば、師匠の大濵安伴(あんはん)を名誉会長とした八重山古典民謡研究会結成のころのいきさつも貴重な写真とともに語られている。

 三線を始めたばかりの20歳ごろの安室流協和会の面々と一緒の写真も残っている。最前列には大濵安伴や大浜津呂の姿が見える。当時、三線を習うと言ったら「ウフピラツカなりハ、トゥジファつかないぶさぬど(大の怠け者になって妻子も養えないよ)」と反対された。しかし長久先生は「継続することが力だと思って」続けてきた。

 著者のはいの晄(あきら)氏は綴(つづ)る。「人生のコツの一つは徹底して継続することだと思い知る。そして、おそらく一つのことを徹底して継続し追究する人だけが見ることができる風景があるのだろう」と。からだを鍛えた昔のことも長久先生は「今となっては役に立っているさ、声を出すのに。腹筋も必要でしょ」と振り返る。喉のために酒も煙草(たばこ)もやらず、息を長くするために素潜りもした。傍目(はため)からはつながりの見えなかった事さえ、長久先生の人生においては実はすべてが一つの道につながっていた。そして継続し続ける原動力は「好きやそー」のただ一言につきるに違いない。(大森一也・南山舎編集)