子どもの養子縁組をあっせんする事業者の要件を定めた「養子縁組児童保護法」が、先の臨時国会で成立した。

 TPP関連法やカジノ法の陰に隠れて大きく報じられることはなかったが、戸籍上も実子となる「特別養子縁組」を根付かせるための重要な法律である。

 虐待や貧困などの事情から実の親と暮らせない子どもたちを、血縁関係がなくても愛情を注いで家庭で育てる制度として機能させたい。

 新法の柱は悪質業者の排除と、許可を得た事業者の支援だ。

 昨年11月、千葉県の業者が養親希望者と現金のやりとりがあったとし、児童福祉法違反容疑で強制捜査を受けた。

 大阪市のNPO法人は実親が養親を選ぶサイトで「産んでくれたら最大200万円相当の援助」と呼び掛け、市から「人身売買の誤解を招く」と行政指導を受けた。

 新法では、民間のあっせん事業を現在の「届け出制」から、都道府県知事による「許可制」へと規制を強化。無許可であっせんした場合の罰則も設けている。

 許可要件は「営利目的でない」「個人情報を適切に管理する」などで、許可を得た事業者には国や自治体からの財政支援も盛り込んだ。

 民間で活動する団体の多くは、予期せぬ妊娠をした女性と養育を希望する親を結びつける乳児の特別養子縁組をサポートしている。

 専門的な知識に基づいて真面目に取り組む事業者には支援を惜しまず、養子縁組が促進されることを期待する。

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 虐待などで親と暮らせない子どもが全国に約4万6千人いる。その9割近くが児童養護施設や乳児院などで生活しているという。

 先進諸国と比べ「施設偏重」が批判される中、昨年改正された児童福祉法は里親委託や養子縁組の促進をうたっている。「施設から家庭へ」と政策を転換するものだ。

 「家庭養育」を重視する背景には、後を絶たない子どもの虐待死がある。特に生まれて間もない赤ちゃんが犠牲になるケースが目立っているからだ。

 原則6歳未満の子どもを対象とする特別養子縁組は、児童相談所のほか民間団体や医療法人が仲介し、2015年の成立件数は544件とここ数年急増している。

 望まない妊娠をした実親の相談に乗り、出産直後に養親に赤ちゃんを託す特別養子縁組は、子の命を守るセーフティーネットの役割も果たす。

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 県内では、生後2カ月の長女に暴行を加え死亡させたとし、29歳の母親が傷害致死容疑で逮捕される事件があったばかりだ。

 おととし夏、うるま市の団地敷地内で生後間もない女の子が置き去りにされる事件もあった。

 中央児童相談所とコザ児童相談所が扱った特別養子縁組は12年度からの3年間で11件にとどまっている。

 さまざまな事情で親が育てられない赤ちゃんがいる。子どもを望む夫婦も多い。

 特別養子縁組という選択肢をもっと周知すべきだ。