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  • 国際基準で人材を育てる「バカロレア教育」。県内では2校が導入
  • 一部を日本語で行う沖尚高は初の資格取得者を輩出し海外進学へ道
  • インターナショナルスクールでは小学生がiPadを活用し探求型学習

 世界的な教育プログラム「国際バカロレア」(IB)が注目されている。沖縄県内では本年度からオキナワインターナショナルスクール(那覇市楚辺)が初等教育に加えて中等教育でも導入したほか、沖縄尚学高校(同市国場)も2校目の認定校として国際文化科学コースでスタートさせた。両校とも英語力だけでなく、思考力や表現力、コミュニケーション能力を伸ばすことを重視するなど、グローバル化時代に対応した人材の育成を狙う。(社会部・鈴木実、嘉数よしの)

沖尚高の授業風景。生徒たちが活発にディスカッションを交わしていた=那覇市国場・同校

iPadを活用しながら、とり年にちなんだ年賀状を作る子どもたち=那覇市楚辺・オキナワインターナショナルスクール

沖尚高の授業風景。生徒たちが活発にディスカッションを交わしていた=那覇市国場・同校 iPadを活用しながら、とり年にちなんだ年賀状を作る子どもたち=那覇市楚辺・オキナワインターナショナルスクール

やりとりは全て英語

 「この歌から感じられるクリスマスの要素は何ですか」「ジーザス、星…。誕生したイエスが寝かされた『飼い葉おけ』といった言葉もあります」

 沖尚国際文化科学コース2年生の英語の授業。この日は「クリスマスの文化」をテーマに、さまざまな年代のクリスマスソングを取り上げ、作風の違いや背景を分析し合った。

 「かつては宗教色が強い歌が多く、近年ではエンターテインメント性が強い歌が目立ちます。なぜでしょう」。トーマス・ミッチェル先生が問い掛ける。

 男子生徒の一人は「この歌が人気だった1960年代には米国でマルチカルチャーが浸透し始め、キリスト教徒でない人の割合も高かったのでは」と自分なりの推論を展開した。

 それを受け、さらにミッチェル先生が「なるほど。でも当時も90%以上がキリスト教徒だったのでは」と問いを重ね、議論を深める。やりとりは全て英語だ。

国際バカロレアとは

 IBは国際バカロレア機構(本部ジュネーブ)が提供する国際的な教育プログラム。世界140以上の国・地域の約4600校で実施されている。

 年齢に応じた教育課程があり、高等教育のディプロマ・プログラム(DP)は2年間。言語や理科、数学、芸術など6分野の教科があるほか、生徒が自ら調査・研究して論文にまとめる「課題論文」、知識の本質について考え批判的思考を養う「知の理論」といった学習が必修とされている。

 DPの所定のカリキュラムを履修し、試験に合格すると、国際的に幅広く認められた大学入学資格を取得できる。国や大学によって扱いは異なるが、IBのスコアが入学者選抜の基準に使われたり、一部の科目が免除されたりする。

 国内でも筑波大や慶応大がバカロレア資格取得者向けの入試を実施しており、東北大も今春から導入予定だ。

一部の科目は日本語で

 国内のIB認定校は39校。政府は2018年度までに、認定校を200校まで大幅に増やす目標を掲げる。

 現在の認定校はインターナショナルスクールが主流で、日本の学校教育法第1条に基づく学校は15校とまだ少ない。特に高校に相当するDPは原則として英語かフランス語、スペイン語で行う必要があるため、日本の学校にはハードルが高い。

 そこで文部科学省はIB機構と協力し、一部の科目を日本語で実施できる「デュアル・ランゲージ・ディプロマ・プログラム(日本語DP)」を開発し、普及を進めている。

 沖尚が導入したのも日本語DPで、このプログラムとしては宮城県の1校と並んで全国初の取得者が今月出たばかりだ。