【連載「働く」を考える】

 「抑うつ状態にあります。しばらく会社は休んだほうがいい」

経験の生かせる働きやすい職場を求めて求職活動を続ける真栄田正昭さん。

 一昨年末、正社員として5年間勤務した会社を退職した真栄田正昭さん(29)は退職する半年前、睡眠障害を患い、心療内科でうつ病と診断された。「体のだるさがひどい。会社に行くのも人と会うのも嫌」。眠りを制御できず、朝起きられなくなった。病休と出勤を繰り返し、戻れる気がしなくて退職を決めた。

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 従業員が20人に満たない会社で、企業の機器設備の設置やメンテナンスをする業務を担当していた。日中は店舗や工場を回り、修理作業に当たる。その場で対応できないものは会社に戻り原因を調べて部品を発注し、見積もりや報告書を作成する。

 月~土曜日まで週6日、1日8時間の勤務。就労時間は法定の週40時間を超えていたが、労働時間延長の労使協定が結ばれていたかは分からない。社内に残業を報告する仕組みはなく、5年間で残業代が支払われたことは一度もなかった。

 基本給は入社当時から3万円上がって退職時は18万円。社会保険料などを差し引くと手取りは14万円ほど。年2回、それぞれ1カ月分のボーナスが出た。

 設備の故障は突然起こる。作業は午前2時や4時から始まることもあった。唯一の休みの日曜も、急な依頼で頻繁に吹き飛んだ。深夜の仕事をした日も、通常通り午前9時には出勤しなければならなかった。給与明細の「勤務日数25日」の記載を見てやりきれなさが込み上げた。

 「違う、30日だ」

 深夜業務したことを朝礼で報告しても社長から返答はなかった。「社長は営業畑で、作業現場には詳しくない。社員がどんな働きをしているのか理解していない気がした」

 会社から決算の説明はなかったが、業績が上がっていることは日々の業務量から感じられた。一方で、営業部は予算度外視の安価な仕事をよく受注してきた。「その分が人件費の抑制につながっているのではないか」。不信感が募った。

 同僚が処遇改善を社長にぶつけていたことがある。「ボーナスが残業代みたいなものだから我慢しろ」。返ってきた社長の言葉をそばで聞いて言葉を失った。「仕事は嫌いじゃないしやりがいもあった。ちゃんと評価してくれていたら…」。

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 退職して1年。今は実家で暮らすが、「このままでは自立することも、結婚する将来も見通せない」。経験を生かせる転職先を探し続けているが「求人広告には残業や休みに関する情報が足りないことが多い。後悔しないよう慎重に調べて次に進みたい」(文中仮名)(学芸部・座安あきの)

 

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