【郷田まみ通信員】昨年12月31日の大みそか、人々が夕食の準備や支度に追われる中、道で生活するホームレスたちに温かい食事を配る県系人らのグループがいた。

大みそかに仮装姿で市内を回り、ホームレスの人に食事を配ったエルナンさん(左)ら=アルゼンチン・ブエノスアイレス市内

 発端は、県系2世で外科医の安良城エルナンさん(43)が12月26日、自身のフェイスブックのページに、あるビデオとともにコメントを公開したこと。

 「これがやりたい! クリスマスは残念ながら過ぎてしまったけど、まだ大みそかが残ってる。参加者募集!」

 ビデオは「クリスマスの忍者」と題し、忍者の格好をしたアメリカ在住の沖縄県系移民の子孫たちが、クリスマスの日も道で過ごすホームレスの人々にサプライズのプレゼントを行う、というもの。

 このビデオに感銘を受けたエルナンさんは、自分もやってみようと即決意。フェイスブックで呼び掛けると、賛同者が次々と増え、きっかけとなったビデオから取った「忍者作戦」の決行が決まった。

 「1年の最後の日ぐらいは、温かくておいしい食事を食べてもらいたい」との思いを込めて、大みそかの5日前から毎日、準備に時間をかけた。当初の配給目標数はトレイ50個分だったが、最終的には合計248個の食事が準備された。

 ブエノスアイレス市内を8台の車で回り、正午から午後8時まで、肉のサンドイッチ、果物ジュース、果物、パネトーネ一切れとアルファホール(アルゼンチン定番のお菓子)を詰めたトレイを配った。

 子供たちも含め、参加者全員の仮装姿にエルナンさんは「仮装姿の方が、食事を受け取る相手も警戒心や羞恥心なく、親近感を持ってくれる」と語り「みんな、とても喜んでくれました。記念撮影も快く受け入れてくれたし、また戻ってきてほしいと言ってくれました」と振り返る。

 作戦を実行するにあたり、驚くほど多くの寄付も集まったという。エルナンさんは「知り合いだけでなく、匿名の方々からも多くの寄付があったからこそ、この作戦が実現できた」と感謝していた。