トランプ次期米大統領が20日、正式に就任する。新政権の陣容で目を引くのは、大金持ちとこわもての元将軍と金融大手のゴールドマン・サックス出身者が多いことだ。

 元将軍の中でも、とりわけ海兵隊出身が目立つ。

 国防長官には、「狂犬」の異名を取る元海兵隊大将のジェームズ・マティス氏が指名された。国土安全保障省の長官に起用されたジョン・ケリー氏もやはり元海兵隊大将である。

 アジア政策を担当する国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長には、海兵隊出身のマット・ポティンガー氏が内定した。

 国家安全保障担当の大統領補佐官に就任する元国防情報局長のマイケル・フリン氏は陸軍中将の経歴を持つ。

 これほど元軍人を重用する政権は聞いたことがない。

 海兵隊はOBを含め組織の結束が固く、議会に対しても強い影響力を持っている。海兵隊の沖縄での既得権を守ろうとする米側の圧力が強まる恐れがある。

 米中関係が悪化すれば、米軍駐留経費の日本側負担の増額要求だけでなく、南シナ海での米軍の作戦行動への支援を求められる可能性も高い。

 米国のアジア回帰政策への全面支援を表明している安倍政権は、米軍を引き留めておくため、結局、米側要求を受け入れることになるだろう。 沖縄側から見ればこの状況は、負担軽減に逆行する動きである。一切の幻想を捨てて現実を直視し、これまでにない新たな取り組みを作り出す必要がある。

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 翁長雄志知事は新政権の発足にあわせ、31日から5日間、米ワシントンを訪問し、名護市辺野古の新基地建設計画の見直しをアピールする。

 知事訪米を取り巻く環境は前回の訪米よりも厳しい。辺野古訴訟の最高裁判決で県が敗訴し、埋め立て工事が本格的に始まる悪しきタイミングである。外務省は知事要請の先手を打って「辺野古が唯一」という考えを新政権に吹き込むはずだ。訪米によってどのような成果をめざすか。そのことを行く前に、はっきり確認したほうがいい。

 翁長知事はこれまで、政府との集中協議や司法の場で、国連や日本記者クラブで、さまざまな機会を利用して過重負担の実態を訴えてきた。大きな成果があったといっていい。

 ただ、取引や利益を重視する相手に、従来の手法は通用しない。最高裁判決の後だけになおさらだ。

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 一過性の要請に終わらせないためには、今後、何が必要か。まずは、オスプレイ事故に象徴される沖縄の「複合過重負担」の現実を詳しくわかりやすく、多言語で発信することだ。

 狭い島に、これだけ長期にわたって他国の地上兵力を受け入れ、演習場や飛行場と住民地域が隣り合わせになっている地域はほかにない。

 新基地建設を強行すれば他の基地の安定維持にも影響を与えずにはおかないだろう。海兵隊の運用と配置を再度見直すことが、長期的には日米双方にプラスになる。