【記者の視点】特別職に倫理規程なし 求められる制度見直し

【資料写真】沖縄県庁

 教員採用試験や教育庁幹部人事を巡る「介入」について、安慶田光男副知事は疑惑を全面的に否定している。ならばなおのこと、県民にしっかり説明することを求めたい。

 教員や公務員の採用試験において、公正さは不可欠の要素だ。特定の受験者を合格させるよう依頼していた疑惑が事実なら、道義的な責任が問われることは避けられない。

 地方公務員法は、地方公務員に「全体の奉仕者たるにふさわしくない非行」があった場合、懲戒処分として減給や停職、免職などの処分をすることができると定めている。県の職員倫理規程も公正な職務執行を説き、禁止事項や処分内容を明記している。不正な口利きなどは、これらに抵触する可能性が高い。

 一方で、副知事など特別職はいずれも対象外。現金授受などがあれば収賄罪などに問われる可能性があるが、そうでなければ司直の手も入りにくく、いわば法的な規制の「盲点」になってきた。

 しかし一般の感覚からすれば、疑惑が持たれているような行為が公務員倫理に反することは明らかだ。多くの受験生の努力を踏みにじるだけでなく、採用試験全般や教員への不信を招きかねない。

 知事や副知事は一般職とは比較にならないほど大きな権限や権力を持つ。「性善説」に立脚した現在の制度は十分ではない。

 福岡県は2010年、副知事(当時)の裏金接待問題を巡り、副知事に特化した倫理条例を制定した。北海道や徳島県も、特別職を例外としない同様の条例を設け、地位の私的利用の禁止などをうたっている。

 地縁血縁の強い沖縄では、不正な口利きや不透明な人事が起きやすい素地がある。特別職向けルール作りを検討することも、一考に値するだろう。

 「調査など具体的な対応は検討していない」とする県教委の姿勢も、一方の当事者としては不可解だ。依頼を受けたことがないか、当時の関係者に確認することが難しいとは思えない。このままではむしろ、何かを隠しているように疑われ、信頼を損ねるのではないか。昨年の試験も含め、きちんと調査して結果を公表すべきだ。(社会部・鈴木実)