文部科学省が組織的にOBの天下りに関わっていた疑いが強まっている。

 事務方トップの前川喜平文科事務次官が責任を取って辞任する意向を示しているが、これで幕引きにしてはならない。

 何度も退職金をもらう厚遇や官民の癒着にもつながる天下りに対する国民の目は厳しい。規制をかいくぐり、半ば公然と続いてきた霞が関の悪弊に徹底的にメスを入れるべきだ。

 国家公務員の天下りを監視する政府の第三者機関「再就職等監視委員会」が調査しているのは、文科省が元高等教育局長の早稲田大への再就職をあっせんしたとする問題である。

 元局長は退職から約2カ月後の2015年10月、早稲田大大学総合研究センターの教授に就任。この再就職で同省人事課が元局長の経歴に関する書類を送っていた疑惑が浮上している。

 当初、文科省はあっせんの事実はないと説明していたが、大学への調査で虚偽が判明したという。隠蔽(いんぺい)しようとしたのなら悪質である。 

 07年に成立した改正国家公務員法は、省庁による再就職あっせんのほか、民間企業、団体に対する求職活動などを禁じている。

 元局長の再就職は国家公務員法違反の疑いが強い。

 同様の事例は数十件に上るといい、組織的なあっせんが常態化していた可能性がある。問題の根は深い。

 過去の天下り先や件数、経緯など事実関係を明らかにした上で、厳正な対処を求めたい。

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 06年に発覚した防衛施設庁を巡る官製談合事件は、職員の天下り受け入れ実績に応じて同庁発注の土木、建築工事などを配分するという露骨なものだった。長官以下80人余りが戒告などの処分を受け、その後、施設庁は解体された。

 国家公務員法の改正は、相次ぐ談合事件を受けたもので、同法が業務と関係の深い民間企業などへの求職活動を規制するのは、官民癒着の悪弊を防ぐ狙いからだ。

 文科省高等教育局は私立を含む大学への助成金配分や運営の監督を所管する部署である。大学にとって、文科省とのパイプは重要ということなのだろうか。

 公正であるべき教育行政に疑念が持たれている以上、天下り先に特別に不当な利益が供与されていないかについても、調査し公表する必要がある。

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 監視委はきょう20日、疑惑に対する調査報告書を公表する。

 文科省の規範意識の低さは指摘されて当然だ。しかし天下りは文科省だけの問題ではない。

 利害関係企業へ大っぴらに天下るケースが影を潜める一方で天下りは巧妙化し、各省庁が民間に「指定席」を持ち代々引き継ぐ構図や、再就職を繰り返す「わたり」は根強く残る。

 規制の「抜け穴」を防ぐ取り組みと同時に、キャリア官僚が定年前に辞める慣行の改革が必要だ。