「第二次伊江島農業ルネサンスになる」-。伊江村の島袋秀幸村長がこう力を込めるのは、村内農家の長年の悲願だった地下ダムの整備だ。沖縄総合事務局が2004年度に着手した国営かんがい排水事業伊江地区の地下ダムなどの整備が本年度内に完成し、4月から本格的な通水が始まることになった。

地下ダムからの本格的な通水が4月から始まるのを前に行われた散水式。農業の生産性向上などが期待されている=伊江村内

 村農林水産課によると、村内に耕作放棄地はなく、農業生産額は増加傾向。実績データが今後出る15年度は40億円を見込むという。14年度実績では花きが16億円、畜産は約10億円、葉タバコが8・6億円と続く。品目も20近くあり、村は北部地域でも有数の生産額で、農業は基幹産業だ。

 一方、恒常的な水不足で、農家はため池からタンクで水をくんで畑に散水するため負担は大きく、安定的生産や生産性の向上などが課題だった。

 地下ダムからの散水は昨年11月から一部地域で試験運用されており、花きを栽培する島袋勉さん(54)は「とても助かっている」と喜ぶ。1カ所の散水で30分~1時間かかっていたのが、今は蛇口をひねるだけになった。「その分、肥培管理や収穫など他の作業に時間を使える。地下ダムの導入によって農家は今後、畑の大規模化や新たに他の作物の栽培に取り組める可能性ができた」と話す。村農林水産課は「間違いなく品質も上がる」と確信する。

 ただ、花き以外の農家戸数は減少しており、新規就労者の獲得は課題。その確保につなげようと、村では16年度からパクチーやガパオなど「アジアン野菜」の試験栽培を始めるなど取り組んでいる。

 農家戸数に限らず、そもそも村人口は1960年度以降のデータで、64年度の8011人をピークに減少傾向が続き、2016年12月末現在で4620人に減っている。

 島袋村長は、地下ダム導入で農家の生産性が格段に向上し、「農家の後継者として、これまでは1人しか島に戻ってこれなかったものが、2人帰ってこれるようにもなる」として、導入による波及効果にも期待する。「人口減の歯止め対策に特効薬はない」として農業や観光、定住促進などといった各施策を地道に取り組み、成果を上げたいと話した。(北部報道部・伊集竜太郎)

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