主人公は90歳、認知症、サスペンスフルな復讐(ふくしゅう)劇。はてさてどんな展開が待っているのかと想像もつかない。

「手紙は憶えている」の一場面

 とある老人ホームで暮らすゼヴとマックス。最愛の妻を亡くし認知症の症状が進むゼヴにマックスが耳打ちする。「約束だ! 今こそ俺たちの復讐を果たそう」と、2人の家族はナチによって虐殺されていて、70年たっても忘れることのできない現実だった。

 記憶がおぼつかなくなっているゼヴが、どうやって復讐の相手に行きつくのか、彼の焦燥と不安が見る側にも波及する。戦争の悲劇を描くのにさまざまな方法があるが、こんな描き方があったのかと、その着眼点に感嘆する。

 名優たちの演技を堪能しながら推理に思いを巡らせていると思いもよらぬ展開にすべての思念を打ち砕かれた。(スターシアターズ・榮慶子)

シネマパレットであす21日から上映予定