「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」でおなじみのマリー・アントワネットの生みの親、ドイツ最大有力貴族ハプスブルク家。一族の歴史はなんと650年。

「グレート・ミュージアム ハプスブルク家からの招待状」の一場面

 本作の舞台「ウィーン美術史美術館」では、彼らが収集した世界遺産級の絵画や彫刻を所蔵している。美術館創立から125年がたった2016年。輝かしい栄光の陰には、劣化する美術品、かさむ運営費、所蔵品だけでの企画力の限界…と、押し寄せる現実に打ちのめされ、葛藤するスタッフの姿があった。

 継承する重責を任された者、作品の修復に余念がない者、来場者のために働く現場スタッフ、清掃員。「われわれは名門一族の忠実な下僕か、現代人として市場に身を委ねるか」。それぞれの立場で現実と向き合い、愚痴をこぼしながらも、愛した仕事に命をかける人々の姿が美しい。(桜坂劇場・下地久美子)

桜坂劇場であす21日から上映予定