出張で、中学の修学旅行以来32年ぶりに鹿児島県を訪れた。雄大な桜島を眺めていると、旅先ではしゃぎ合ったクラスメートの笑い顔が浮かんだ

 ▼今回訪ねた南九州市知覧町の知覧特攻平和会館で、子犬を抱きかかえながら仲間と笑顔を浮かべる17歳の荒木幸雄さんの写真に胸を突かれた。荒木さんらはその2時間後に出撃し、沖縄で戦死した

 ▼特攻では17歳から32歳の1036人が犠牲になった。残された手紙も母親に宛てたものが多い。家族を守りたいという思いと同時に、国のために殉ずることが誉れとされた当時の教育、風潮があった

 ▼南九州市では平和や命の尊さを発信するスピーチコンテスト「平和へのメッセージfrom知覧」が毎年開かれ、受賞作を『あした いのち かがやけ』という本にまとめている

 ▼昨年の中学生の部最優秀賞に選ばれた中学2年の日下部春希さんは手記や遺書などで隊員は家族を守るために出撃したと考える半面、敵の兵士も同じように戦ったのではないかと考えた

 ▼日下部さんは「二度と命を奪う国にさせないためにも、自分の国が犯した過ちを隠さず教えてほしい。私たちも次世代に伝えたい」と述べている。日下部さんの決意に触れ、この国が一度歩んだ道を繰り返させないことが若くして命を失った隊員らに報いることになると誓った。(与那原良彦)