通常国会が20日、召集された。安倍晋三首相は施政方針演説で、「日米同盟こそが外交・安全保障政策の基軸であり、不変の原則だ」と述べ、トランプ新政権の下で日米同盟をさらに強化していく考えを明らかにした。

 沖縄県民が懸念しているのは、トランプ新政権の下で沖縄の基地機能がさらに強化されることであるが、県民の不安や懸念には触れなかった。

 逆に安倍首相は、北部訓練場約4千ヘクタールの返還を実現したこと、軍属の扱いを見直すため地位協定の補足協定を締結したことを説明し、負担軽減の実績をアピールした。

 その上で、普天間飛行場のことを「世界で最も危険と言われる」と形容し、同飛行場の返還に向け、最高裁判所の判決に従って、名護市辺野古の新基地建設を進めていく考えを明らかにした。

 沖縄の実情を知らない本土の人たちがこの演説を聞けば、なるほど、と相づちを打つかもしれない。

 だが、首相の説明は一面的である。否定的側面に何一つ触れていないのは、過重負担の現実を直視していない証拠だ。「世界で最も危険」だという認識があるのなら、一日も早く普天間飛行場を閉鎖するのが筋である。

 普天間所属の垂直離着陸機オスプレイは昨年12月、空中給油訓練に失敗し、名護市安部の浅瀬に墜落・大破した。「世界で最も危険」だという認識があるのなら、何よりもまず、狭い沖縄でのオスプレイの飛行訓練を中止すべきである。

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 米軍は、オスプレイが重大事故を起こしたにもかかわらず、住宅や人身への被害がなかったことを評価して「感謝されるべきだ」と言い放ち、事故の原因調査が終わらないうちに飛行を再開し、空中給油訓練も再開した。

 政府は唯々諾々と米軍の方針を追認するだけだった。

 宜野座村城原や東村高江などでは今も、オスプレイの訓練によって騒音被害や墜落事故への不安など、住民生活が現実に脅かされている。

 重大事故が発生しても、日本の捜査機関は地位協定の壁に阻まれ、捜査さえできない。それが沖縄の現実だ。

 安倍首相は施政方針演説で、「『戦後』の、その先の時代を開くため、新しいスタートを切る時」だと述べ、「新しい国造り」への挑戦を呼び掛けた。

 安倍政権の基地政策では「『戦後』の、その先の時代」を沖縄において切り開くことはできない。敗戦と米軍統治下に築かれた基地群を再編し、半永久的に固定化しようとしているからだ。

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 国の基本となる「天皇・憲法・安保」という政策課題に加えて、今国会では、働き方改革も取り上げられる。

 安倍首相は、同一労働同一賃金を実現し、長時間労働を是正するため時間外労働の限度を定める罰則付きの法改正を行うことを明らかにした。

戦後の社会構造を転換する取り組みだといっていい。

 政府・与党はこれまでの国会運営を反省し、野党の意見にも丁寧に耳を傾け、熟議を尽くすべきである。