著者が強調しているように、沖縄問題は新たな段階を迎えている。

「沖縄VS.安倍政権 沖縄はどうすべきか」(高文研・1620円)/みやざと・せいげん 1931年今帰仁村生まれ。米オハイオ州立大大学院博士課程修了。琉球大、獨協大などで教授。沖縄対外問題研究会顧問。2001年「日米関係と沖縄1945-1972」が伊波普猷賞受賞。「アメリカの沖縄統治」など著書多数

 4年前の1月、オスプレイ配備反対県民大会の代表団が安倍晋三首相に「建白書」を手渡し、沖縄県民は政府に対して、オスプレイ配備の中止・撤回と普天間基地の閉鎖・撤去および県内移設の断念を迫った。その後、「オール沖縄」の翁長県政が誕生。国政選挙でも県レベルの選挙でも保革の壁を超えた協力が成果を上げた。自己決定権の主張が強まり、沖縄の未来は沖縄県民が決めるとの機運が高まってきた。

 しかし、2016年、国と県との裁判闘争の中で高裁が和解条項に盛り込んだ協議の提案を、安倍政権は無視し、辺野古埋め立て承認の取り消しを撤回するよう指示。7月には県を再提訴した。元海兵隊員による暴行殺人事件に抗議する6月の県民大会に6万5千人が集まり在沖海兵隊の撤退を求め、翌月の参院選で現職大臣が落選したにもかかわらず、政府は翌日から高江でヘリパッドの建設を再開した。

 著者は、この時期に安倍政権が強硬策に転じた、沖縄は状況を分析し対抗策を講じるべきだ、と警鐘を鳴らしている。辺野古・高江での抗議行動に政府は県外から500人もの機動隊を導入。反対の意思表示を続ける市民に対して、必然性に欠ける逮捕・拘束や長期の勾留を日常化させている。8月には、菅義偉官房長官が、これまで否定してきた沖縄振興と基地問題の「リンク論」を公式に容認さえした。

 国民の沖縄問題に対する無関心をよいことに、政府は、都合の良い法解釈と物理的な力とリンク論とで、沖縄を組み伏せようとしている。

 では、沖縄はどうすべきか。著者は冷静かつ客観的に反論すべきだと言う。そのための材料として、本書では、沖縄の米軍基地の重要度の低下、アメリカの東アジア政策と安倍政権の安全保障政策との齟齬(そご)、中国の台頭とそのソフトパワーの脆弱(ぜいじゃく)性などがわかりやすく論じられている。

 年末から年始にかけて、沖縄の未来を拓(ひら)く道筋に思いを馳(は)せたすべての人の手に、この1冊を届けたい。(星野英一・琉球大教授)