「中国のスパイ」。仲井真弘多前知事が、街頭やネット上でののしられていた時期がある。祖先が中国から渡来した久米三十六姓であることが材料だった。辺野古新基地を容認すると、手のひらを返したように礼賛された

▼翁長雄志知事は子どもが中国人と結婚した、中国留学中、というデマを基に攻撃された。県議会で「中国に行ったこともない」と否定せざるを得なかった

▼沖縄とゆかりの深い隣国なのだから、交流はむしろ当然だ。一方、市民的自由を認めない、周辺国への軍事力誇示など、今の一党独裁体制はおかしい。そこで、中国脅威論を便利に使う人たちがいる。裏には別の目的がありそうだ

▼この役所の場合は組織防衛か。公安調査庁が中国について「琉球独立勢力に接近」「日本の分断を図る戦略」と報告書に書いた。何度もリストラ対象になり、オウム真理教以外の「敵」を必要としているようだ

▼それにしても。問題にしたとみられる「学術交流」には中国と対立する台湾からも研究者が参加している。新聞を読めば分かる。税金を使って何を「調査」しているのか

▼沖縄とアジアに対するヘイトスピーチは最近、地上波テレビにも進出している。警官は市民を「シナ人」とあざけり、国の報告書がネット同様のデマを広める。ヘイト国家ニッポンはどこに行くのか。(阿部岳)