県の教員採用試験などをめぐって「口利き疑惑」が浮上している安慶田光男副知事が23日、辞任した。

 記者会見した安慶田氏は、一連の疑惑を否定しながらも、「行政運営に混乱と停滞を招いている」ことなどを理由に、同日付で辞任したことを明らかにした。

 安慶田氏は、2015年に実施された教員採用試験で特定の受験者(複数)を合格させるよう県教育委員会側に依頼した「口利き疑惑」や、教育庁幹部人事で特定の人物の登用を働きかけた疑いがもたれている。

 安慶田氏は本紙報道によって事が公になって以来、一貫して疑惑を否定していた。

 現職副知事による「口利き疑惑」は、事実であれば、教員採用試験の公平性を疑わせ、信頼性を失わせる重大な行為だ。にもかかわらず県は不十分な調査のまま火消しに走ってしまった。

 翁長雄志知事は20日の定例記者会見で疑惑を否定。知事会見に同席した平敷昭人教育長も、前教育長ら5人の幹部に電話で確認した結果、「働きかけの事実はないとの返事をもらった」と述べた。

 ところが、安慶田氏は21日夕になって一転、知事に辞意を表明。翁長知事は、宮古島市長選が終わった翌日の23日、正式に辞任を認めた。

 県教育庁も「新たな事実が出てきた」として24日、急きょ、記者会見する。

 知事は副知事の任命権者として、県教育庁は直接の当事者として、真相を明らかにする責任がある。うやむやのまま終わらせてはならない。

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 安慶田氏は、翁長知事が那覇市長時代に同市議会の議長を務めた側近中の側近。普天間飛行場移設問題を話し合う政府と県の作業部会では、県側代表を務め、官邸と県の橋渡し役を担っていた。

 副知事辞任の影響は教育行政に対する信頼失墜だけにとどまらない。

 14年12月に発足した翁長県政は、今、崖っぷちの危機的状況に直面している。

 名護市辺野古の埋め立てをめぐる県敗訴の最高裁判決。埋め立て承認取り消し処分の取り消し。埋め立て工事の着手、分裂選挙となった宮古島市長選の敗北と腹心の副知事の辞任…。

 新基地建設阻止を県政の重要課題に掲げる翁長県政にとって、一連の動きは、ここにきて歯車が逆回転し始めたことを示しており、極めて大きな痛手である。

 県政を取り巻く政治環境は厳しさを増すばかりだ。

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 副知事の後任人事は、県政を浮揚させ、翁長知事の求心力を高めることができるかどうかの試金石となる。まずは「口利き疑惑」の発生を防ぐための仕組みづくりに早急に取り組んでもらいたい。

 新基地建設問題で県内にも漂い始めている手詰まり感やあきらめムードを振り払うためには、インパクトのある新しい取り組みを打ち出す必要がある。埋め立て工事にからむ知事権限を行使するだけでは足りない。

 過重負担の解消に向けた翁長県政独自の総合的な基地施策・要求をまとめるべきだ。