廃棄物処理業者「日本衛生」工場長 仲里樹さん(27)=浦添市出身

 東京都が定める厳しい基準をクリアして認可を受けた数少ない民間廃棄物処理業者、日本衛生社(足立区)で工場長を務める。一般家庭ごみや産業廃棄物だけでなく、細心の注意が必要な医療系廃棄物まで取り扱いは多岐にわたる。「世の中を縁の下で支える存在だ」と胸を張る。

「焼却炉の温度管理には細心の注意を払います」と語る仲里樹さん=東京・足立区の日本衛生社

 ロケットエンジンほどの巨大な焼却炉が24時間体制で稼働する。真冬でも近寄れないほどの放熱を伴う炉内に次々と運び込まれていたのは、使用済み注射器やガーゼ、おむつなどの感染性廃棄物だ。「都の基準は800度以上だが、うちは1千度で燃焼させる」と説明した。

 高校の修学旅行で訪れた東京に刺激を受け、卒業後に上京。光ファイバーの設置工事を請け負う東京電力の下請け会社に就職した。チームを監督する作業長の資格を取得するなど、順調だった。

 しかし、2011年3月の東日本大震災で状況は一変した。仕事量が激減。経営も悪化する中、「このままここにいては」との思いで転職を決意した。知人の紹介で今の会社に入った。

 入社後は廃棄物の搬入やトラックでの回収作業など、さまざまな仕事を積極的に体で覚えた。時には事件・事故があった不動産物件から出た故人の遺品回収、整理作業を1人で担当することもあった。「目を覆いたくなる現場もあったが、自分しかできない仕事というやりがいもあった」とちゅうちょすることなく、作業に全力を傾けた。

 その働きぶりが認められ、弱冠26歳の若さで施設全体の維持・管理を担う工場長に抜てき。年齢や経験が重視される業界の中では異例だ。同社代表の澤谷義一さん(70)は「素直で機転が利く。何より周囲を納得させるだけの技量がある」と評価し、期待をかける。

 社内では最年少。時には年上の従業員への指導や行政との調整など、シビアな役回りも求められるが「この若さで工場長は東京で自分1人」と前向きだ。昨年12月に結婚し、職場近くにマイホームを建てた。「次は営業に挑戦したい。夢は経営者」と語った。(小笠原大介東京通信員)=連載・アクロス沖縄<35>

 【プロフィール】なかざと・たつき 1989年、浦添市生まれ。浦添商業高校卒業後に上京。電気設備工事会社を経て、2011年に廃棄物処理業者「日本衛生」に入社。26歳で東京都の条例に基づく資格「技術管理責任者」に合格。焼却施設の工場長を務める。