【糸満】広島で原爆に遭ったピアノを使った演奏会が14日、市喜屋武の喜屋武岬であった。音楽家だけではなく、訪れた一般の人々も鍵盤に触れ、北風や打ち付ける波の音とともに、皆で平和を願うメロディーを奏でた。

広島原爆の被爆ピアノの演奏会に訪れ、鍵盤に触れる沖縄戦体験者・土井ハル子さん(奧)と塩眞多美子さん姉妹=14日、糸満市・喜屋武岬

 2005年から全国で「被爆ピアノ」の演奏会を行っている広島市のピアノ調律師、矢川光則さん(64)が、「実際に弾いてもらって、核兵器のない平和な世の中を願う気持ちを共有したい」と開催。当初は読谷村で開く予定だったが、その前に沖縄の仲間の勧めで、急きょ沖縄戦の終焉(しゅうえん)の地の一つ、喜屋武岬での演奏会を加えた。

 演奏会では音楽家の大池功さん(南城市)や金城カーリーさん(那覇市)、井出佳代子さん(糸満市)らが、ジョン・レノンの「イマジン」などを演奏した。サックスやギターとの三重奏でも音色を響かせた。

 静岡県浜松市から観光で訪れ、偶然居合わせた鈴木直幸さん(46)一家の長女・伶菜さん(11)、次女・里於さん(8)らも曲を弾いた。自宅のある同市がこのピアノの製造地で、母の久美子さん(46)は「不思議な縁を感じます」と話した。

 地元FM放送で演奏会の告知を聞き、訪れた市喜屋武の沖縄戦体験者、土井ハル子さんと塩眞多美子さん姉妹は「平和の塔がある喜屋武岬は自治会で慰霊祭を営む地でもあり、いい供養になると思う」と鍵盤をたたいた。演奏会の終わりには、「月桃の花」などを演奏し、全員で合唱した。(崎山正美通信員)