「作り話」。26日、県庁記者クラブで会見した安慶田光男前副知事は、諸見里明前教育長の「告発文書」の内容を切り捨てた。教員採用試験での働き掛けを「一切ない」と重ねて否定し、名誉毀損(きそん)容疑での刑事告訴と民事訴訟に踏み切った。諸見里氏も「受けて立つ」と応じ、翁長県政を支えた元幹部同士が法廷で争う異例の展開となった。

県教員採用試験への介入を否定し、前教育長を告訴したことを発表する安慶田光男前副知事(中央)=26日午前、県庁記者クラブ

 「耐え難い苦痛を与えられた」。用意した文書に目を落として読み上げていた安慶田氏は、時折顔を上げ「不当な口利きをした事実は断じてない」とこれまでの見解を示しつつ、「以上が偽らざる説明だ」と語気を強めた。

 教育庁幹部人事への介入は「教育関係者の要望を前教育長に伝えた記憶は、わずかながらある」と認め、「一切ない」「記憶にない」としていた従来の説明を覆した。「意見や要望を副知事の立場で伝えれば、人事介入と受け止められてしまう。軽率なことと反省し、県民に深くおわびしたい」と頭を下げた。

 「私はこのように、声も大きく、細かな表現が得意ではない。相手を怖がらせてしまったことがあったかもしれない」としながらも、指示や恫喝(どうかつ)の事実はなかったと弁明した。前教育長が「告発文書」を出した理由は「心当たりがないわけではない」と含みのある言葉も口にした。

 記者団からは「なぜ辞めたのか」「(県議会の百条)委員会で答えるべきではないか」などの質問が相次いだが、「司直の手に委ねた案件」として回答を控え、代わって同席した弁護士が答えた。安慶田氏は口を閉ざし、時折大きくうなずいたり、首を横に振ったりするだけだった。

 「なぜ、自身の口で答えないのか」と詰め寄る記者団の質問を弁護士が遮り、会見は約30分間で終了。記者に取り囲まれた安慶田氏は無言のまま、こわばった表情で会見場を後にした。