「毎日続けたら下半身に重みと粘りが出てきた」。昨年の大相撲初場所で9勝に終わった成績を反省、何かを変えようと熱心な稽古に加え、連日1時間以上のウオーキングを続ける努力が飛躍につながった

▼ここ一番に弱く、ぎりぎりのところで踏ん張り切れず何度も綱とりのチャンスを逃してきた大関稀勢の里が、天敵の横綱白鵬を下して初優勝。昨年の年間最多勝の安定感も評価され、30歳で第72代横綱に昇進した

▼日本出身横綱の誕生は19年ぶりだ。左おっつけを軸にした押し相撲を得意とする。大きな体は外国勢と比べてもひけを取らず、初土俵以来、休場したのは1日だけという頑丈さも武器だ

▼「私は早熟で晩成という珍しいタイプ」と自己分析。17歳で関取、史上2位の18歳3カ月の若さで新入幕の一方で、新入幕から横綱まで昭和以降では最も長い73場所かかったことを指すのだろう

▼八百長問題で一時人気が低迷していた大相撲だが、初場所は15日間「満員御礼」となり盛り返しつつある。モンゴル勢はじめ外国人力士が目立つ昨今だが、久しぶりの日本人横綱登場で、さらにファンを楽しませてくれるだろう

▼「もっと強くなる」。寡黙な横綱はきっぱりと言い切った。遅くても努力を重ねれば実を結ぶことを身をもって示してくれたことに励まされた人は多いに違いない。(玉寄興也)