保健師らが認知症とみられる人を訪ね早期診断につなげる「認知症初期集中支援チーム」の設置が遅れている。

 認知症対策の国家戦略「新オレンジプラン」では2018年度までに全ての自治体に支援チームを置くことになっているが、15年度までの設置は287市区町村で全体の16・5%にとどまっている。県内はさらに低く4市村(9・8%)だけだ。

 早めの治療で進行を遅らせ、生活の質を高めるためにも体制の確立を急いでもらいたい。

 支援チームは専門医の指導の下、保健師や看護師、社会福祉士らで構成。「認知症では」と不安に思った本人や家族からの連絡を受け、自宅を訪問し、医療機関や介護サービスへと橋渡しをする。

 県高齢者福祉介護課の調査によると、県内では15年度に浦添市、渡嘉敷村、沖縄市、宮古島市で取り組みがスタート。本年度は5市村が設置を予定している。

 設置に踏み込めない理由に「要件を満たす医師が確保できない」ことを挙げる市町村が多く、核となる専門医不足が浮き彫りとなっている。

 しかし、大分や兵庫など設置率が既に5割を超えているところもある。

 離島が多く専門職の確保が難しい事情はあるだろうが、自治体で合同チームをつくったり、民間の力を借りるなどの方法も模索すべきだ。

 県内には65歳以上で認知症の人が約3万9千人いる。高齢者のおよそ7・4人に1人という計算だ。高齢化とともに増える認知症の人をどう支援するかは、社会全体の課題である。

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 「認知症の人と家族の会」などの13年の調査で、家族が異変に気付いてから本人が医療機関を受診するまで、平均9カ月半を要したという結果が出ている。

 認知症は物忘れなどの兆候が表れても、「年だから」と思い込み、受診が遅れるケースが少なくない。

 一方、「私は認知症じゃない」と受診を拒否したり、家族が「本人に受診を言い出せなかった」など、非常にデリケートな問題でもある。

 最近は1人暮らしの高齢者が増えていて、周囲に気付かれないうちに症状が進行するケースもあるという。

 早期診断で本人の不安を和らげ、家族をサポートし、よりよい生活につなげることが大切だ。

 病院に行くのはハードルが高くても、自宅に出向いて気軽に話を聞いてくれるチームが果たす役割は大きい。

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 認知症の当事者が声を上げ始めた2000年代以降、「自分らしく生きるための支援」がケアの中心となっている。

 人格を尊重した支援である。 

 認知症の初期の段階は、適切なサポートとちょっとした配慮があれば、仕事を続けることも可能で、ボランティアに汗を流したり、家事を担ったりとできることがたくさんある。

 その後の人生を豊かにしていく早期診断、早期対応の重要性を社会の共通認識としたい。