2017年(平成29年) 12月14日

社説

社説[翁長知事訪米]新政権への訴えに活路

 翁長雄志知事は31日、知事就任以来、3度目の訪米要請に出発する。

 2月4日までワシントンで上下両院の議員やシンクタンク研究員、沖縄問題に関心の高い大学教授らと会談し、辺野古新基地建設に反対する沖縄の意思を伝える。稲嶺進名護市長や新基地に反対する政党や経済界有志、市民らでつくる「オール沖縄会議」も同行する。

 民主党のオバマ前大統領から共和党のトランプ大統領に米政権が移行した直後の訪米である。

 2月3日にはマティス国防長官が来日、10日には日米首脳会談が予定されている。

 仮に防衛相会談、首脳会談で「辺野古が唯一の解決策」と確認したとしても、翁長知事がワシントンで一足先に訴える意味は小さくない。

 ロビー活動は1度で成果が出るわけでないことは翁長知事自身がよく知っているはずである。新政権が辺野古新基地建設に反対する沖縄の民意を十分に知らないであろうことを考えれば、継続することが大切だ。

 トランプ政権の出方は、日米関係においても予測不可能である。これまで対日政策に影響力を持っていた「ジャパンハンドラー」とはまったく違うアプローチをしなければならない。県ワシントン事務所は政権により近い人物との会談の実現に全力を挙げてもらいたい。

 那覇空港で30日開かれた出発式で翁長知事は「新大統領誕生で硬直化した政策が動くかもしれず、『辺野古唯一』を変えたい」と意気込んだ。

■    ■

 翁長知事の過去2度の訪米に比べ、今回が厳しい環境にあることは間違いない。

 2015年の訪米は前年の知事選で辺野古埋め立てを承認した前知事に約10万票の大差をつけて当選したことを背景に、「辺野古ノー」の民意をはっきり伝えた。16年の訪米は政府と県が裁判所の提示した和解に合意し、工事が中断した直後だった。

 今回は辺野古違法確認訴訟で県側の敗訴が最高裁で確定し、埋め立てに向けた工事が再開されている。

 辺野古新基地建設問題は終わったとの見方が広がる中での訪米でもある。

 トランプ大統領は選挙戦で、在日米軍の駐留経費(思いやり予算)の負担増強を求めている。マティス国防長官は元海兵隊大将出身である。辺野古問題でも強硬な姿勢を示すことが考えられる。

 県は前政権より厳しくなることを想定しておいたほうがいい。

■    ■

 米政府はこれまで県の要請に対し、日本の国内問題との姿勢を崩さないが、とんでもない。民間地域に隣り合って演習場や飛行場が存在する地域は沖縄の他にない。被害はおのずと住民に及ぶ。

 オスプレイは米ハワイ州では下降気流が遺跡保存や希少生物の生息環境に影響するとして米軍は訓練を断念した。沖縄では夜間でも住宅地上空を飛ぶなどやりたい放題だ。

 米政府は沖縄の米軍基地を使用し、事件・事故を引き起こす当事者であることを忘れてはならない。

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