企業の対応はこうも違うものか。米大統領令の影響が国内外の産業・経済界に広がっている。難民受け入れの凍結やイスラム圏などからの米国への入国禁止を決めた動きに対してだ

▼多くの米企業が沈黙を守る中、アップルやフォードなどは「大統領令を支持しない」と表明。グーグルは移民を支援する団体への寄付を発表するなど、大統領令で影響が出るとみられる人への支援に乗り出した

▼特に移民を多く雇うIT企業が声を上げたのは、人権や人材を守り尊重する責任からだろう。「移民がいなければ現在のアップルは存在していないだろう」。ティム・クックCEOが従業員に向けたメッセージから分かる

▼一方、全日空と日本航空などは対象者の米国便への搭乗を原則、断る方針を決めた。業界全体の指針などを決める協会が周知したことを受けたものだが、腑に落ちない。パスポートだけで利用客を判別する怖さにだ

▼企業にとっては、新政権との間に波風を立てたくないというのが本音かもしれない。だが、根拠のない7カ国の人権を踏みにじるような施策に安易に応じていないだろうか

▼テロ対策は国際社会の課題である。だからこそ、企業側の対応も慎重かつ冷静さが必要ではないか。顧客目線がおろそかになっていないか。企業の動きをみているのも消費者である。(赤嶺由紀子)