辺野古新基地建設を巡り、政府は週明けにも海上での本体工事に着手する方針を固めた。調査段階から建設工事に移行することになり、新基地問題は重大な局面に入った。

 沖縄防衛局が開いた環境監視等委員会が11~14トンの大型コンクリートブロック228個を新たに海底へ投下することを認めたことで工事着工の環境が整ったと判断した。大型ブロックは護岸新設などに必要な「汚濁防止膜」を張る際の重しである。

 委員会は非公開で2時間足らずの議論で結論を出した。1年1カ月ぶりの開催にもかかわらず、現場海域がどう変わったのか最新の情報がないまま、委員長が「(沖縄防衛局から)説明があった方式を取れば、サンゴへの影響がなく設置できる」としているのは無責任ではないか。

 サンゴを直接押しつぶさなくても潮流変化や土砂投入で重大なダメージを与える可能性や大量の大型ブロックを投下して環境が守れるのかなど日本自然保護協会の専門家の批判には何も応えていない。

 委員会を巡っては複数の委員が移設事業を受注している業者から寄付金を受け取っていたことが発覚するなど第三者機関としての中立性・公共性が疑われている。

 国の天然記念物「ジュゴン」が2015年1月以降、大浦湾で見られず、食(は)み跡も確認されていない。ジュゴンは音響に敏感で新基地建設に伴う作業の影響が指摘されている。委員会の本分が環境問題で助言することなら工事を中断し、消えたジュゴンの原因調査を優先すべきだ。そうでなければ「結論ありき」の追認機関というほかない。

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 訪米中の翁長雄志知事は、ワシントンでの要請先で「国が工事の設計変更などを申請した際には、県の権限を行使する」と語った。3月末に更新期限を迎える岩礁破砕許可など政府の申請を不許可にすることを念頭に置いている。

 知事を支援する市民らは前知事の埋め立て承認の「撤回」を求めている。撤回は前知事が承認した後に新たな事情が出てきた時に適用できる。

 前知事が埋め立て承認をした際に「留意事項」として「実施設計について事前に県と協議すること」をうたっている。だが、沖縄防衛局は県の再三の要求にもかかわらず、応じていない。県は行政指導する方向で、撤回に向けた手続きを積み上げている。

 翁長知事は撤回について言及しておらず、市民団体との間に溝ができかねない。後戻りできないほど工事が進む懸念が消えず、撤回の最終判断を早急に打ち出すべきだ。

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 県を取り巻く環境は厳しい。辺野古違法確認訴訟は最高裁で県側敗訴が確定した。これを受け、翁長知事は前知事の埋め立て承認の取り消し処分を取り消した。

 県政の足元は安慶田光男前知事の辞任問題で屋台骨が揺らいでいる。翁長知事は5日の帰任と同時に前副知事問題を決着させる方向性を示し、後任副知事を決めて政府に対抗する態勢を整えなければならない。政府が岩礁破砕許可を再申請することを想定して待つ時間的な余裕はない。