2016年の県内完全失業率は4・4%で、23年ぶりに4%台となった。前年に比べ0・7ポイント改善した。

 全国平均の3・1%とは依然として開きがあるものの、県が沖縄21世紀ビジョン基本計画で掲げる最終21年度の展望である「失業率4・0%」に近づいてきた。

 仕事を探す人1人に対して企業の求人がいくつあるかを示す有効求人倍率も改善した。16年は0・97倍。前年より0・13ポイント上昇し、3年連続で復帰後の最高値を更新した。

 数値を見る限り、県内の雇用環境は着実に改善している。

 県は要因として、県経済をけん引する観光関連産業が好調なことや、情報通信関連産業の誘致による雇用の受け皿の増加を挙げる。

 観光は16年の入域観光客数が861万3100人となり、4年連続で過去最高を更新した。クルーズ船の寄港も増え、外国人客が初めて200万人を超えた。宿泊や飲食、小売りをはじめ、さまざまな分野に経済効果を及ぼしている。

 情報通信関連産業も、県が「新たなリーディング産業」に位置付け、振興に力を入れたことでコールセンターや情報サービス業などが相次いで進出している。

 ただ、喜んでばかりもいられない。

 新規求人数に占める正社員の求人の割合は27・5%にとどまり、前年に比べ0・1ポイント悪化した。全国を大きく下回っており、必要な人員を非正規雇用で埋めようという企業の認識が変わらない。

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 沖縄労働局のまとめでは、15年の求職者の7割以上が正社員を希望していた。にもかかわらず、正社員の求人の割合は伸びない。

 非正規は賃金が安く、雇用形態が不安定で長期的な人生設計が立てにくい。それでも生活を維持するために非正規の職を選ばざるを得ない。

 指標の上で雇用環境が改善したとしても、正社員の拡大につながらなければ、真の意味の改善とはならない。

 若者の失業率が高いのも気になる。15~19歳が20・0%、20~24歳が8・9%、25~29歳が6・1%といずれも県全体の失業率を大きく上回っている。

 求人はあっても就職に結び付かないのは、「希望する職種の仕事がない」「正社員ではない」などミスマッチがあるからだ。

 多くの若者が就職しないままであったり、不安定な雇用の状態に置かれたりすることは、社会にとっての損失である。

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 一方で、企業の人手不足感は高まっている。沖縄公庫の調査では、県内主要ホテルの9割が、人手不足で業務に支障があると答えた。このままでは観光の質の低下にもつながりかねない。

 官民の連携した取り組みで、人材確保へ向けて企業の正社員化の動きも出ている。こうした動きを加速させ、賃金を上げるなど労働者の待遇の向上を図るべきだ。

 県経済が好調な今こそ、雇用の質の改善につなげたい。