春の足音とともに沖縄から球音が響く。

 プロ野球6球団の春季キャンプが1日、県内各地でスタートした。中旬からさらに3球団が加わる。

 沖縄は12球団中9球団がキャンプを張る「キャンプ王国」だ。

 宜野湾のDeNA、宜野座の阪神、浦添のヤクルト、北谷の中日、石垣のロッテ、久米島の楽天と、練習が始まった各キャンプ地には連日、多くのファンが詰め掛けている。

 キャンプ見学の醍醐味(だいごみ)は何といってもプロの迫力である。間近で見るパワフルな打撃や、ブルペンで体感するボールの速さなど、その迫力に目が奪われる。

 お目当ての選手に望遠レンズを向ける女性、2軍選手にも熱い視線を注ぐ男性、のんびり眺める夫婦など、楽しみ方はそれぞれ。

 練習後、サインをもらえることも多いため色紙を何枚も手にしたファンやグッズを買い求める客も多かった。

 沖縄キャンプは38年前の1979年、日本ハム投手陣が名護市で練習したのが始まりだ。海洋博後に落ち込んだ観光の立て直しにと誘致に乗り出したのである。

 当初、名護市営球場はスタンドもない草野球用の貧弱な施設だった。グラウンドは水はけが悪く、雨が降ると市職員が泥まみれになりながらスポンジやバケツで水をくみ出したエピソードが残る。

 南国でのトレーニングが成果を出したことから、選手同士の口コミも手伝って、以降、沖縄をキャンプ地に選ぶ球団が増えていった。

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 一昨年、オリックスが宮古島から撤退するまで最も多い時で10球団がキャンプを張った。宮古撤退の背景には新キャンプ地宮崎市の積極的な誘致活動があったという。

 自治体の激しい誘致合戦は今も続く。沖縄の気候の強みに甘えず、施設の充実やソフト面での支援など、常に課題を意識する必要がある。

 今年、県スポーツ振興課は誘客強化を目指して、沖縄プロ野球キャンプ見学情報サイトを立ち上げた。各球団のキャンプスケジュールやイベント情報、見学のポイントなどが紹介されている。 

 今月中旬、第2陣としてやってくるのは、昨年日本一に輝いた日本ハム、25年ぶりにセ・リーグ優勝を果たした広島、そして巨人だ。

 桜の季節にドライブしながらチーム巡りを楽しむのもいいかもしれない。

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 日中の気温が20度を超える暖かさとなった3日、浦添市民球場はキャンプガイドを手にした大勢のファンでにぎわっていた。

 目に留まったのは、選手の動きをじっくり観察する野球少年たち。プロのすごさを知ってもらうため一緒に来たという親子連れもいた。

 沖縄の高校野球のレベルの高さとキャンプ王国は無縁ではない。

 100億円を超える経済効果はもちろん魅力だが、スター選手を間近で見ることができるのが一番の魅力だ。

 25日から各地でオープン戦が始まる。