琉球国時代から続くとされる「沖縄角力(すもう)」は、しまくとぅばで「うちなーじま」「しま」と呼ばれる沖縄の伝統文化だ。腰の帯を右四つに組んだ状態からスタートし、相手の背中や両肩を地面につけた者が勝ち。技は全てしまくとぅばで名付けられている。地域の祭事で奉納されたり、競技として大会が開かれる。地域に根付きながら独特な文化は脈々と受け継がれている。(運動部・勝浦大輔)

「沖縄角力を盛り上げたい」と意気込む(右から)與那輝明さん、仲村昭吾さん、仲宗根悠人さん、金城海揮さん、佐久川治希さん=那覇市・漫湖公園

にじりたかぬし(右やぐら投げ)

にんじゃーぐわぁ(横捨て身投げ)

からまちゃー(かわずがけ)

「沖縄角力を盛り上げたい」と意気込む(右から)與那輝明さん、仲村昭吾さん、仲宗根悠人さん、金城海揮さん、佐久川治希さん=那覇市・漫湖公園 にじりたかぬし(右やぐら投げ) にんじゃーぐわぁ(横捨て身投げ) からまちゃー(かわずがけ)

 

■決まり手は20手 増える大会数

 沖縄角力の決まり手は、20手ほどある。技名で「にじり(右)たかぬし(腰)」は、相撲では「右やぐら投げ」に当たる。右ももや腰に相手を乗せ、豪快に投げる大技だ。「にんじゃー(寝た状態)ぐわぁ」は「横捨て身投げ」で、技をかける側も横に倒れながら投げる。

 元来は村祭りで奉納され、王府時代には各村々で競われたとされる。1946年に競技規定が成文化され、77年には沖縄県角力協会が発足した。県系移民がいる南米やシルムとして知られる角力がある韓国などと交流がある。

 県協会によると現在、県内で全島大会は20回以上、地区単位を含めると50回ほどの大会がある。この10年ほどは競技の普及発展を狙い、大会数は増えているという。

 

■飛び交う「やじ」も魅力

 大会は3分3本勝負。制限時間内に勝負が決まらなければ旗判定となる。熱戦を期待する観客から「へーく投げれ」「時間ねーらんどー」などやじが飛び交う。

 県協会の山城成人事務局長(41)は「沖縄角力にはスニンジマ(諸人角力)という言葉があり、選手、観衆が一体となって盛り上げるという意味を持つ。なかなか技がかからなければ、解説者も『やぐいかけてください(やじを飛ばして)』とあおりますよ」と笑う。

 競技人口の減少は課題だ。沖縄角力を愛してやまない若者に支えられている。

 昨年の全島大会のなんみん祭で軽量級を制した金城海揮さん(26)。選手だった父親の影響で、競技を始めた。浦添工業高時代はレスリングで国体5位に入った。「沖縄角力は予想以上に難しく、奥が深い」と魅力を語る。沖縄角力の技名で知ったしまくとぅばもあると言う。「『ちんし』は膝、『ひじゃい』は左というのも最初は知らなかった。技と方言を一緒に覚えた感じ」と笑う。

 

■あのお笑い芸人も優勝経験者

 お笑いコンビ「ドラゴンエマニエル」で活躍する仲村昭吾さん(25)は、沖縄角力が盛んな久米島出身だ。幼いころから遊び感覚で親しみ、本島の大学に進学してから本格的に取り組む。全島大会の優勝経験者だ。「やっぱりかっこいい。もっとチャンピオンになりたい」と熱中する。

 北大東島出身で豊見城南高校に通う仲宗根悠人さん(15)も島で角力を学んだ。「北大東でもやる人が少なくなっている。後輩に受け継いでいきたい」と意気込む。

 県協会は、昨年まで3年連続で、沖縄角力の競技内容や指導法を紹介するDVDを県内の公立中学校に配布した。山城事務局長は「今は沖縄角力を知らない子がほとんど。多くの子どもたちにやってもらいたい」と底辺拡大に期待を込めた。