【連載「働く」を考える】

 保育士の赤嶺良江さん(48)は保育士になって23年目の44歳で初めて、20万円を超える給料を手にした。認可保育園の主任になり手当と残業代がついたからだ。

「子どもが好きで何とかやってこれたけど、経営者や園長との関係では心をずたずたにされることが多かった」と語る赤嶺良江さん

 「半分、ボランティア感覚だよね」。同僚と笑いながらよくそんな会話をした。1日8時間勤務で週休1~2日。経歴が10年を超えても、手取り15万円前後の給料が続いた。

 認可の場合、保育士の賃金は国の基準に基づいて園に運営費の一部として支払われる。だが、実際の支払いはほぼ園の裁量に任され、園によって月給や賞与の額に差がある。公の賃金テーブルがあるのに、経験年数がどう反映されているのか、保育士からはその中身が見えづらいのが実情だ。

 「独身の頃は保育が好きというだけでよかったけど、結婚して子どもができると常に生活に余裕がない状態だった」。年齢とともに仕事にも自信がついてきたのに、悶々(もんもん)とした思いが募った。

 それでも、保育園経営の夢を抱き、理念や経営について学ぼうと認可外、認可、公立を10園近く渡り歩いた。手本にしたい園との出合いがあった一方で、保育士の自信ややる気をそぐ経営者や園長の理不尽な言動を目の当たりにしてきた。

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 社会福祉法人で家族経営の認可園では役員に保育経験のない経営者の娘が就き、無理難題に感じる要求に現場は困惑。賞与が出ると園長に「お礼」の品を届ける慣習があり、疑問に感じた。園長は保育士が保護者から褒められることを嫌がり、保育の方針に意見すると「辞めてもいいのよ」と返した。「保育士も園も自分のものといわんばかり。恐怖に感じた」

 別の認可園であった月1回の自主研修は勤務終了後から深夜に及ぶことも少なくなかった。自主性を強調し、残業代もつかないが、実態は園の強制。「休日に当たっても『参加できない』とはとても言える雰囲気ではなかった」。毎日のようにある残業にも園長は「タイムカードを押してから残りなさい」と指示した。

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 経営者や園長の顔色をうかがいながら、保育士が自信をくじかれ、肩身の狭い思いをしている-。これが、赤嶺さんが多くの園で感じてきた保育士の働き方だ。一方で、子どもたちと接する「保育の仕事」に救われてきた。現在は夢を実現し、経営者兼園長を務める。保育士を信頼して業務を任せ、保護者の前でも素直に保育士への感謝を口にする。「保育士が自信と誇りをもって笑顔で働ける職場が、結果的に子どもたちにとっていい保育環境を提供することになる」。そんな理念をもって運営に当たっている。(文中仮名)(学芸部・座安あきの)

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