沖縄防衛局は7日、沖縄県名護市辺野古の新基地建設に向けキャンプ・シュワブの海底に大型コンクリートブロック4個を沈めた。昨年12月の辺野古違法確認訴訟の最高裁判決を受け、翁長雄志知事が埋め立て承認取り消し処分を取り消してから約6週間。国が工事を急ぐ背景には、来年1月の名護市長選と今後の県の権限行使を見据え、後戻りできないとの認識を広く浸透させるための「既成事実化」を急ぐ狙いがある。(政経部・大野亨恭、東京報道部・上地一姫)

辺野古海上のコンクリ-トブロック投入について記者の質問に答える翁長雄志知事=7日午後、県庁

 

■急ぐ理由

 菅義偉官房長官は7日午前の会見で、昨年12月の国勝訴判決を強調し、「辺野古移設に向けた工事を進めていきたい」と建設工事を急ぐ考えを重ねて示した。

 国は、昨年12月の作業再開以降、市民が臨時制限区域内に立ち入らないよう、フロート(浮具)にネットを設置。天候に関係なくボーリング調査を実施できるよう国内最大規模の大型掘削調査船「ポセイドン1」を大浦湾に投入するなど強行的な姿勢を強めてきた。

 「できるところから進める。後戻りできないとの虚脱感を県内に浸透させるためだ」。防衛省関係者は、急ぐ理由をこう明かす。

 

■ムード醸成

 政府の念頭にあるのは、2018年1月の名護市長選だ。市長選までに埋め立てをできるだけ進めることで、「あきらめムード」の醸成を狙う。政権関係者は「辺野古はやむを得ないと思い、地域振興策などで市長を選ぶ人が出てくるだろう」と期待を寄せる。

 さらに、防衛局は今後、知事や稲嶺進名護市長が許認可権を持つサンゴの特別採捕許可や美謝川の水路変更などの申請を控える。県や市の権限行使で工事が中断する可能性があり、「今できるところから進めておく必要がある」(関係者)との事情もある。

 

■撤回の時期

 一方、一気呵成に工事を進める姿勢を打ち出す政府に対し、県は有効な「次の一手」を明示できないでいる。知事は7日、記者団に、工事強行により県民感情が米軍全体への抗議につながると日米両政府をけん制した。だが、工事を止める具体的な方法に関しては明言を避けた。

 知事周辺の一人は、最大の切り札とされる撤回に関し、「工事に着手したばかりで明らかな違法行為や環境悪化はみられない。現状で撤回に踏み切っても、その後の訴訟に耐えられない」と漏らす。

 県は、撤回の時期や、国が4月以降、岩礁破砕許可を得ないまま工事を継続した場合には訴訟なども視野に対抗策を慎重に検討する。幹部の一人は「県の権限で工事を止めることは可能だ」と断言した上で、こう不安を口にした。

 「慎重な判断を下すまでには時間がかかる。その間、翁長県政の『命』である民意が離れないような工夫が不可欠だ」

(写真説明)辺野古海上のコンクリートブロック投入について記者の質問に答える翁長雄志知事=7日午後、県庁