先行研究を取り込みながら日米合同委員会にターゲットを絞り、その正体に迫った著作である。本書を読み終えた人は、日本が「独立国」から程遠く、米国の「従属国家」であることをまざまざと知ることになるだろう。

創元社・1620円/よしだ・としひろ 1957年大分県生まれ。ジャーナリスト。96年「森の回廊」で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。「密約 日米地位協定と米兵犯罪」「沖縄 日本で最も戦場に近い場所」など著書多数。

 日本には最高法規の「憲法体系」がありながら、それを上回る「安保法体系」が存在する。「安保法体系」と、それを支える合同委の「密約体系」が「憲法体系」の上位に位置し、米軍に事実上の治外法権を保障する構造がつくられてきた。その正体が合同委であることを本書は明らかにする。

 日米合同委員会とは何か。米軍の基地使用・軍事活動の特権などを定めた日米地位協定の具体的な運用について協議する機関である。その下に多くの分科委員会や部会が置かれている。日本側代表は外務省北米局長、米側代表は在日米軍司令部副司令官。文官と軍人の組み合わせであるのが特徴で、1952年の発足以来、変わらず続いている。米側は軍事的観点から要求を出すことから、米軍基地の円滑な運用や訓練などが最優先されることになる。

 辺野古新基地建設を巡り、2014年7月に「臨時制限区域」(「臨時」という言葉もまやかしだが)を最大で沖合2・3キロまで延長し、範囲を約561・8ヘクタールに大幅拡大することを決めたのも合同委だ。

 合同委の議事録や合意文書は原則公開されないが、行政権や司法権をも縛っている。著者は関連文書を入手し実態に迫る。合意または決定は、地位協定の実施細則という性格を持っているとしても、広い意味では新たな立法であることに間違いない。国家主権に関わることであるにもかかわらず、合同委で合意すれば、「国権の最高機関」である国会が関与できないまま、米軍が事実上の治外法権を日本政府に認めさせる構造になっているのである。

 著者は合同委を廃止し、衆参両院に「日米地位協定委員会」を設置して主権者を代表する国会の場で、審議することを求める。これこそが「日本を取り戻し」、真の主権回復と主権在民を実現する道である。(崎濱秀光・沖縄タイムス論説委員長)