東京電力は9日、東日本大震災で壊滅的な事故を起こした福島第1原発2号機の原子炉格納容器内の空間放射線量が毎時650シーベルトという分析結果を発表した

▼数十秒浴びれば人が死亡する高濃度のレベル。調査するロボットの機器が壊れるほどの過酷な状況が続いていることが明らかになった

▼「放射能が降っています。静かな夜です」。福島市に住む詩人の和合亮一さんは東日本大震災発生から5日後の2011年3月16日、この詩をツイッターで発信した

▼和合さんは津波や地震で奪われた多くの命への鎮魂、福島第1原発の事故で放出された放射能の恐怖、被災した人々の暮らしなどをツイッターで刻々と伝え続けた。詩をまとめた「詩の礫(つぶて)」は反響を呼んだ

▼昨年3月に発刊された詩集「昨日ヨリモ優シクナリタイ」に収録された「除染」は「削られてゆく 移されてゆく 埋められてゆく 埋もれてゆく 日本のこと 土と石のこと」とつづる。未曾有の被害をもたらした福島原発の廃炉さえめどが立たないにもかかわらず、原発再稼働に突き進む政府や電力会社の姿と、記憶の風化を照らしている

▼ちょうど1カ月後、大震災から6年を迎える。福島では10万に近い人々が自宅や故郷を追われ、避難生活を強いられている。原発と震災の実相にいま一度向き合う必要がある。(与那原良彦)