任期満了に伴う浦添市長選は12日投開票され、前職の松本哲治氏(49)=無所属、自民、公明推薦=が前市議で新人の又吉健太郎氏(42)=無所属=を退け、再選を果たした。

 政治家が公約にどう向き合うかが最大の争点となる特異な市長選となったが、松本氏は公約転換の理由を繰り返し説明することで、批判をかわした。

 三つどもえとなった2013年の前回市長選で、松本氏は県議や市議らでつくる選考委員会の公募で選ばれ、那覇軍港の浦添移設について唯一「反対」を掲げて当選した。だが、15年4月に一転して受け入れを表明。「公約は変えてはならないものではない」と開き直りとも受け取れる発言が反発を招いた。

 今回の選挙戦で又吉氏は公約破棄の批判を強めたが、政策論争にまで発展しなかった。軍港問題について又吉氏自身が選挙後の「市民投票」で決めるという公約が逆にあいまいさを浮き上がらせた。

 公約は政治家と有権者の契約であり、重い。松本氏は那覇軍港の移設容認の前には、普天間飛行場移設問題で「県外・国外」の公約を辺野古移設容認に転換している。

 代議制民主主義では有権者は、公約の実現を期待して投票する。選挙のときだけの公約であっては有権者の政治不信は広がるばかりである。

 選挙戦で松本氏は「県、那覇市が容認し政治環境が変わったため足並みをそろえた」などと批判に正面から応える姿勢に転じた。有権者から一定の理解を得たとみられるが、又吉氏の得票数を自らに対する批判票と受け止める謙虚さが必要だ。

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 那覇軍港と西海岸開発問題は浦添市の歴代市長が取り組んできた最重要課題である。

 松本氏は那覇軍港も、西海岸開発も現行計画を見直す立場だ。西海岸開発はキャンプ・キンザー返還跡地と連動していないとして、ビーチの向きを変更し、クルーズ船が接岸できるバースを整備。観光リゾート構想を描く。軍港を那覇市寄りに移動させることとあわせ「浦添市素案」を策定している。

 軍港の位置を含めた現行計画の変更は、県、那覇市、那覇港湾管理組合との調整が必要となるが、物流用地の確保を求める組合との対立が続いており、先行きが見通せないのが現状だ。

 福祉畑出身でありながら1期目は「松本カラー」を打ち出せなかった。前回公約の学校給食無料化は「道半ば」だが、今回の公約である拡充をまずは実現してもらいたい。

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 翁長知事にとって宮古島市に引き続き、浦添市でも巻き返しができなかったことは痛い。辺野古新基地建設を巡り、政権与党と翁長県政との「代理戦」の側面があり、自民、公明幹部が中央から入り、経済界などへのてこ入れに対抗できなかった。

 4月にはうるま市長選があり、来年11月には天王山の知事選を迎える。今回の選挙では又吉氏を翁長知事や県政与党などが支援したが、政党によって取り組みに濃淡があった。翁長知事は態勢の立て直しを急がなければならない。