◆トランプ政権の日中2正面外交

 尖閣諸島をめぐる米国の政策は「抑止」と「諌止(かんし=いさめて思いとどまらせること)」の合わせ技だ。中国に対しては野心を起こさせない「抑止」であり、日本には無用に騒がぬよう諌める「諌止」である。トランプ政権もその大枠を継承する方針が見えてきた。沖縄基地問題も同じように現場維持となる。

尖閣諸島(写真:沖縄タイムス社)

 トランプ大統領と安倍晋三首相がゴルフと食事会で日米の蜜月ぶりをアピールし、両首脳が共同声明で「尖閣は日米安保適用対象」と繰り返し確約してみても結局大きな枠組みは変わらない。むしろ日米首脳会談の背後に中国の影がちらついた。

 時系列で日米、米中の動きを重ねてみる。2月3日にトランプ政権のマティス国防長官が来日し、尖閣の安保条約適用を確認した。同じ日にトランプ政権で国家安全保障を担当するマイケル・フリン大統領補佐官は中国国務院で外交を統括する楊潔篪(よう・けつち)国務委員と電話会談し、米中協力強化を確認している。これは米中首脳電話会談の地ならしとなった。

 トランプ大統領は8日、中国の習近平国家主席に書簡を送り、建設的な関係構築を呼びかけた。そして9日、トランプ大統領は習近平主席と電話会談し、「一つの中国」を確認した。米中が懸案を片付けた翌日の10日、安倍首相がワシントンへ飛び立った。尖閣や南シナ海の安保分野で日米協力を宣言してみても、米中間の関係修復が先に進められていたのが実情だったのではなかろうか。日本では安倍-トランプの蜜月がもてはやされているが、米中先行の印象が残った。

 国際世論を横目にトランプ詣でをするリスクを払った割に、結果は従来の政策を再確認した後、ゴルフを楽しんだというだけなら、日本外交の軽さを国際社会にさらけ出したことになりはしないだろうか。