まるでアート空間に変身-。思わず入りたくなるようなトイレが沖縄県今帰仁(なきじん)村の歴史文化センターにお目見えした。「性別に関係なく、どんな人でも使いやすいトイレを作りたい」。同センターが既存の車いす対応トイレを改装し、ミニギャラリーに様変わりした。(北部報道部・西江千尋)

ギャラリーに変身したトイレ。石野裕子館長(左)、長谷川華乃子さんが中心に手掛けた=今帰仁村歴史文化センター

トイレ入り口にもペイントを施している=今帰仁村歴史文化センター

ギャラリーに変身したトイレ。石野裕子館長(左)、長谷川華乃子さんが中心に手掛けた=今帰仁村歴史文化センター トイレ入り口にもペイントを施している=今帰仁村歴史文化センター

 きっかけは3年前、石野裕子館長がテレビ番組で、身体と心の性が異なるトランスジェンダーの人のインタビューを見たことだった。外出時、男女別に分けられたトイレに入りづらく困る、という訴えを知り「当たり前に用を足すことが難しいという視点にこれまで気付かず、はっとした」という。

 早速、「公共施設は誰にでもサービスを提供する役割がある。センターに何ができるか」と議論を始めた。当事者に話を聞く中で、誰でも入れる多目的トイレは車いすや子連れでない人にとって入りづらいことに気づいた。

 「誰でも入っていい」ではなく「誰でも入りたくなる」トイレにするにはどうすればいいか-。議論を重ね、たどり着いた結論が、トイレを丸ごとギャラリーにすることだった。

 タイル張りの内装を塗り直し、壁に木の板を貼り付けておしゃれな空間を演出。誕生した“トイレミュージアム”で、国内最大級の音楽イベント「フジロックフェスティバル」のTシャツ制作を手掛けた経歴を持つデザイナー・イラストレーター、うちまゆみこさんの作品展を1月下旬から開いている。

 壁や天井に作品15点を展示し、便器に座りながらゆっくり鑑賞できる。便器のふたを下ろすと絵が出てくる仕掛けもあり、石野館長は「アート空間として楽しんでほしい」と話す。

 うちまさんの作品展は3月31日までだが、トイレはその後も展示会の貸し出しスペースにするという。入場無料。問い合わせは同センター、電話0980(56)5767。