【連載「働く」を考える】

 シルバー人材センターの会員である山田正彦さん(63)は、金融機関の駐車場案内係として働いている。

最低賃金の確認を呼び掛けるチラシを手にする山田正彦さん。「『働くすべての人』にぼくらは入っていないのか」

 勤務は週3日、午前8時~午後3時。70~80台が止まれる駐車場で、客を空きスペースに案内したり、長時間止まったままの車があれば店舗に連絡したりする。このほか、駐車場やロビー、ATMコーナーの清掃も業務に入っている。

 炎天下に立ちっ放しの仕事。4~10月にかけての沖縄の暑さは特別で、アスファルトの地面は高温になり、汗だくで働く。

 体力的にきついと感じる仕事だが、山田さんの時給は、県の最低賃金714円を下回る600円だ。昼食を除き実働6時間。1日当たり3600円と交通費460円を合わせた4060円が「配分金」としてセンターから支払われる。月に入るのは5万円前後だ。

 山田さんは国家公務員として働いていたことがあるが、心を病んで退職した。年金は月8万円余りで、収入は配分金と合わせて13万円ほど。築20年以上の家賃3万5千円のアパートに住み、食費を切り詰めながら生活している。

 センターの入会動機は山田さんのように「経済的理由」が5割近くで最も多い。

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 「最低賃金以下というのは、おかしいんじゃないか」。山田さんはそう感じ、シルバー人材センターに問い合わせた。

 シルバーの仕事は、発注者から受けた業務を会員に「委任」「請負」する就業形態で、会員は自らの裁量で働く個人事業主のようなもの。雇用関係が生じないため、労働基準法は適用されず、最低賃金の対象外。シルバーはもともと生きがいづくりなどが目的で、生計維持のために働く人を対象にしているわけではない-などの説明を受けた。

 山田さんは労働基準監督署も訪れた。労基署でも、契約形態が雇用契約ではなく委任の形のため、労基法や最低賃金法は適用されず、労基署が行政指導することはできない、と言われた。

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 山田さんはセンターを通して、金融機関にも委任料を上げるよう求めたが、断られた。

 労働法を勉強し、個人事業者か労働者かは契約の形式ではなく、労働関係の実態で判断されると専門家が指摘していることを知った。

 「同じ業務で、警備会社なら最低賃金以上が支払われるはずだ。僕らは一定時間拘束され、業務内容も決まっている、紛れもない労働者。実際の労働実態を見て対価が支払われるべきだ」と訴えた。(文中仮名)(学芸部・高崎園子)

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