東村高江の米軍ヘリパッド建設や名護市辺野古の新基地建設の反対運動中、器物損壊や公務執行妨害などで逮捕・起訴された沖縄平和運動センターの山城博治議長(64)の身体拘束が17日で4カ月になる。弁護側は「県内のこれまでの基地反対運動などと比べても、異常に長い」と指摘。「捜査は尽くされているはずで、起訴後も勾留する理由はない。一刻も早く保釈を」と訴えている。

沖縄平和運動センター山城議長

米軍北部訓練場から出てきた市民を拘束しようとする機動隊員ら=2016年10月17日、東村高江・N1地区表ゲート付近

沖縄平和運動センター山城議長 米軍北部訓練場から出てきた市民を拘束しようとする機動隊員ら=2016年10月17日、東村高江・N1地区表ゲート付近

■通常は「起訴後に釈放」

 県警は過去にも逮捕権を行使し、市民の身柄を拘束することで抗議行動を抑制させたことがある。それでも身柄は、起訴後数日で釈放されている。

 1976年9月、金武町や恩納村にまたがるブート岳で米軍が実施していた「県道104号線越え実弾砲撃演習」に対し、中止を求める市民が着弾地のブート岳に登り、阻止行動を展開。県警はうち4人を軍施設・区域への無断立ち入りを規制する「刑事特別法」で現行犯逮捕した。

 それまで過去6回、着弾地での抗議で演習を止めたが、逮捕を機に基地内での抗議は行われなくなった。4人は起訴後数日で保釈された。

 当時、4人を弁護した池宮城紀夫弁護士は「逮捕の可能性がある抗議行動はなくなった。ただ、不当逮捕や砲弾演習の危険性に県民が怒り、最終的に演習は本土に移転した」と語る。

 山城博治議長の逮捕・勾留についても「当時と同じく、日米の意向で運動をつぶすという政治的弾圧だ。過去の運動に対する公安事件では起訴後に釈放されており、人権侵害の長期勾留が続いている」と指摘する。

 司法統計によると2015年で、起訴後も3カ月以上勾留されているのは公務執行妨害事件で17・3%、傷害事件では23・3%。池宮城弁護士は「山城さんのケースは、同種事件の中でも軽微だ。わずか2千円の鉄線を切断し、約2週間の治療を要する打撲を負わせただけで3カ月以上も勾留されるのか」と疑問視する。

■「証拠隠滅の恐れ」と言うが…

 那覇地裁が起訴後も山城議長の勾留を認め続ける理由に、「証拠隠滅」「逃亡の恐れ」があるとする。弁護側は「目撃者や映像などで証拠はそろっているはずで、隠滅の可能性はない。家族や仕事もあり、逃亡の恐れもない」と訴える。

 地裁や那覇簡裁は家族の接見も禁止。弁護側は「家族と面会したところで、証拠隠滅に走るとは考えられない」と指摘。妻との接見許可を求め、地裁や最高裁などにこれまで10回以上申し立てているが、認められていない。

 山城議長と共謀したとして公務執行妨害と傷害の罪で起訴された男性(31)を弁護する小口幸人弁護士も、証拠隠滅を理由にした勾留を疑問視する。男性は昨年8月、高江で沖縄防衛局職員を転倒させたなどとして11月11日に起訴されたが、12月1日に保釈された。

 小口弁護士は「証拠隠滅の恐れがないから男性は保釈されたはずだ。なぜ山城氏にだけ、隠滅の恐れがあると判断するのか理解できない」と語る。

■拘束し続けるための逮捕?

 山城議長の逮捕を巡っては、器物損壊容疑での勾留請求と公務執行妨害・傷害の逮捕の日が昨年10月20日で重なった。弁護側の三宅俊司弁護士は「一般的に警察は、勾留満期で再逮捕に踏み切る。地検の勾留請求を簡裁が退ける恐れがあり、山城さんを拘束し続けるための逮捕だ」とみる。

 金高望弁護士は器物損壊容疑の逮捕について「警察車両に乗せられるまで、逮捕の認識がなかった」と手続きを問題視。同容疑の勾留理由開示法廷で逮捕の場所を質問したが、地裁の高津戸拓也裁判官は「答える必要はない」と突っぱねた。