憲法上の問題となるのを避けるために、国連平和維持活動(PKO)派遣部隊の実態を覆い隠すような答弁を繰り返す稲田朋美防衛相。今国会最大の焦点となっているにもかかわらず、「共謀罪」の国会での議論を制限するような文書を提出した金田勝年法相。

 両氏の国会軽視の姿勢は、極めて問題だ。閣僚としての資質に疑問を持たざるを得ない。

 稲田氏は、南スーダンのPKOに派遣した自衛隊の日報について問われている。

 部隊の活動を記録した昨年7月の日報に「戦闘」の表現があったことが分かったためだ。首都ジュバ市内で270人以上が死亡した大規模な戦闘が生じた時期のもので、「突発的な戦闘への巻き込まれに注意が必要」などと派遣部隊が危険性を認識していたことが明らかになった。

 それでも稲田氏は衆院予算委員会で「南スーダンでは法的な意味での『戦闘行為』はなかった」と繰り返した。この説明に納得できる人がどれだけいるだろうか。

 海外での武力行使を禁じている憲法9条を念頭に「(戦闘行為が)行われていたとすれば9条の問題になるので、武力衝突という言葉を使っている」とも答弁した。派遣を続けるためのこじつけとしか言いようがない。

 日報を巡っては、昨年10月に情報公開請求されたが、防衛省は「廃棄済み」として一度は不開示とした。その後、電子データで保管されていることが分かったものの、稲田氏には約1カ月間その事実が知らされていなかった。文民統制(シビリアン・コントロール)を逸脱するものだ。

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 金田氏は、「共謀罪」の名前を変えただけで、本質は変わらない「テロ等準備罪」を新設する法案への対応が問題だ。

 「法案の国会提出後に所管の法務委員会で議論すべきだ」などとする文書を法務省に作成させ、報道機関向けに配布。予算委員会での審議を回避しようとしたためである。

 野党から「質問封じ」の批判を受け文書は撤回されたものの、国会がどう審議するかについて閣僚が注文をつけるとは前代未聞だ。

 政府は、2020年の東京五輪・パラリンピックに向けたテロ対策強化をしきりに訴えるが、なぜ新たな法整備が必要なのか、現行法では対応できないのか、政府の説明は十分ではない。

 共謀罪は、国が国民の内面にも目を光らせる監視社会を招く危険がある。国民の知る権利に応えるためにも国会提出前から議論する必要がある。

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 共同通信社の世論調査では、金田氏の言動について69・5%が「問題だ」と回答した。PKO部隊の日報を巡る稲田氏の答弁も、66・4%が「納得できない」と答えた。

 多くの国民が両氏に不信の念を抱いており、安倍晋三首相には任命責任がある。

 加えて野党の追及を受け答弁に窮する両氏を見る限り、南スーダンPKOへの部隊派遣、「共謀罪」法案そのものに無理があると言わざるを得ない。