児童虐待や虐待の疑いのある傷害事件・傷害致死事件が後を絶たない。どうすれば児童虐待を防ぐことができるのか。

 交際相手の女性の生後5カ月の長男に暴行を加え死亡させたとして宜野湾署は16日、25歳の男性を傷害致死容疑で逮捕した。

 事件は昨年7月、女性が仕事で外出しているとき、一緒に住んでいたアパートで起きた。容疑者の男性は乳児に何らかの暴行を加え、低酸素脳症で死亡させた疑いがもたれている。

 外傷はなかったが、頭部を激しく揺さぶったり、硬くない鈍器で殴打した場合、血流が低下し、低酸素状態になるという。

 宜野湾市やコザ児童相談所(児相)は、同居を始めた3人の養育環境に不安があるとして定期的に訪問し、母親の育児相談に乗っていた。

 児相などが支援に動きながら、結果として犠牲を防ぐことはできなかった。

 2015年7月、宮古島市で起きた児童虐待事件も、そうだ。言いつけに従わなかったとの理由で、継父(当時21歳)が3歳の女児を叱責(しっせき)し、転倒した際、床に頭を強く打って死なせた事件である。

 児相など多くの関係機関が関わり、SOSをキャッチしていたにもかかわらず、支援は生かされなかった。

 児相は女児の一時保護方針を決めたが、母親の反発などで見送られ、事件を防ぐことができなかった。

 この二つの事件から浮かび上がるのは、関係機関の保護・支援のあり方である。

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 県社会福祉審議会の児童福祉専門分科会審査部会は、宮古島市で起きた事件の検証報告書の中で、一時保護の決定が母親の反発などで見送られたことが「最大の問題」だと指摘した。

 宜野湾市の事件についても、事件捜査という観点だけでなく、虐待防止という観点からの綿密な検証が必要だ。

 沖縄でしばしば問題になるのは、育児経験の乏しい若い未婚の母親が周囲に相談できる相手がいないために孤立し、育児ストレスに悩まされた挙げ句、児童虐待に走るケースである。

 離婚件数が多いと、再婚件数も増える。離婚も再婚もごく普通の出来事になった社会では、子連れ再婚などで継父(あるいは継母)と子どもが同居する「ステップ・ファミリー」(継父・母の家族)が増える。

 ステップ・ファミリーへの偏見をなくしていくことと、孤立を回避するための当事者支援は、車の両輪である。

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 全国の児童相談所が15年度に対応した児童虐待の件数は10万件を超え、過去最多を更新した。県内は687件で、前年度比44%の増。増加率は全国で4番目に高かった。

 妻への暴力や経済困窮、子どもの貧困などが絡んでいるケースもある。児童虐待が「負の連鎖」の中に組み込まれているとすれば、問題の根は深い。子どもたちが輝く社会を実現するための、欠かすことのできない第一歩-それが児童虐待防止である。