2月1日から県立博物館・美術館で久々の大型企画展「琉球・沖縄の地図展」が開催されている。

「琉球国絵図史料集」第1集・正保国絵図 第2集・元禄国絵図 第3集・天保国絵図(榕樹書林・各1万276円)

 古地図というものは洋の東西を問わずその時々の歴史観や世界観を具体的に可視化したものといえ、それ故に人々の想像力を大きくかき立てるのだ。 1991年から93年にかけて県教育委員会文化課が『琉球国絵図史料集』を編集・発行することとなった。琉球国絵図とは、幕府が自らの支配権の確立を目指して全国の大名に作らせた国絵図編纂(へんさん)事業の一環として薩摩藩に命じて作らせたもので、正保、元禄、天保の三図がある。

 これらの地図原本は超大型で江戸城の大広間くらいでしか開いて見ることのできない、かつ時代の先端をいく超精密な地図であった。だが幕閣の上層部しか接することのできない機密性の高いものであり、結果として琉球の地図というと、不正確な林子平の地図が多くもてはやされ、江戸期の琉球認識の核となっていくことになる。

 そんな国絵図史料集を出すのなら良い機会だから市販用を作ろう、ということになり、私の方に声がかかった。製作費と定価との兼ね合いで、文化課の非売本が並製だったのを上製・布装・函入(はこいり)とし、付録の複製古地図は帙(ちつ)に入れた上で同梱(どうこん)した。それが本書である。

 この資料集は、国絵図の部分をアップした上で記入された地名を翻刻し、さらに関連する古文書類も収録している。国絵図製作の歴史的背景を探るのも面白い。正保国絵図では沖縄本島の地名は「悪鬼納」の当て字が使われている。「悪い鬼が支配している島だから我々が懲らしめて何が悪いのか」という薩摩の開き直った傲慢(ごうまん)があらわに示されている、と読むのはうがち過ぎだろうか。

 県立博物館で鑑賞する際、本書をハンドブックとして活用して頂ければ幸いである。(武石和実・榕樹書林代表)