「20年働いて時給700円ちょっと。ワジワジーして(腹が立って)しょうがないですよ」。娘が勤務する職場が何年たっても給与も待遇も改善されない-と電話をかけて怒りをぶつけてきた60代の女性

▼さらに飲食店に勤める同年代の知人の職場もひどく、最低賃金以下で働いていると説明。「この年になったら雇ってくれるだけでありがたい、と残業代もなく経営者に渋々従っている」と訴えた

▼女性は毎回、県内で働く人の実態を伝える本紙くらし面の連載「『働く』を考える」に必ず目を通すという。「うちと同じ状況だね、と言いながら娘とよく話をする」

▼悲しいかな、県内の労働者は女性の娘や知人のように劣悪な職場環境で働いている人が少なくない。勤務場所や勤務時間など自分に合った条件の仕事はなかなか探せず、かといって生活があるから働かざるを得ない

▼政府の働き方改革実現会議は、1年間の残業時間の上限を720時間で合意。上限時間を法案に盛り込み罰則も設けるが、末端まで行き渡らせることができるのかがポイントになる

▼だが沖縄の人にとってはむしろ、残業時間の上限を決めること以上に、最低賃金や残業代がきちんと支払われているかどうかがより切実な問題ではないだろうか。改善に向け、経営者、労働者双方の意識改革が求められる。(玉寄興也)