【郷田まみ通信員】アルゼンチンの医師で県系3世のグース外間(Gus Hokama)さん(36)が、アルゼンチンと日本の両国で歌手として活躍、国境を越えてステージに立っている。昨年10月の「第6回世界のウチナーンチュ大会」関連事業として開かれた音楽イベント「OKINAWA LATINA」では、アルゼンチンに移民した祖父母を思って作った歌「時空の花」を披露。二足のわらじで活躍する外間さんに思いを聞いた。

アルゼンチン移民の思いをつづった曲「時空の花」をリリースしたグース外間さん

 -ウチナーンチュ大会では「時空の花」を披露し、シングルリリースも行った。経緯を教えてほしい。

 「2015年、母方の祖父の出身地・北中城村の海外移民子弟研修生制度で初めて来沖した。アルゼンチンの移民1世たちへ捧(ささ)げる歌“Entre Claveles”のビデオクリップを滞在中に撮影・制作していた時、今の僕のマネジャー・仲宗根ゆうこさんに出会った。祖父母は県系ペルー移民1世で、自身も音楽・映像制作プロデューサーで執筆者でもある彼女が僕の歌に共感し、歌詞の翻訳を引き受けてくれた。研修の修了式で日本語で披露しようと、仲宗根さんと『時空の花』を完成させた」

 「ディアマンテスのアルベルト城間さんにも、ラテン語圏の人が日本語で歌う際のアドバイスをいただいた。完成した日本語歌を北中城村のしおさい祭りやミニコンサートなどで披露し、聴衆の心に響いたことを実感。さらに多くの人々に聞いてほしいと思った。帰国後、アルゼンチンで録音して沖縄にいる仲宗根さんに送り、歌い方や感情の入れ方、アクセント、発音をチェックしてもらった。そのやりとりを何度も何度も繰り返し、今振り返っても時差を乗り越えて成し遂げた大変な作業だった」 

 -「時空の花」のビデオ映像は、子どものころの外間さんの「ねえ、おじい、僕はアルゼンチン生まれなのに、なんで僕の顔はこの国の人の顔と違うの?」という問いかけから始まる。

 「この歌はアルゼンチンに渡った祖父が、ウチナーンチュとして僕たちに残してくれた思い、そして僕の祖父に対する感謝の思いを語った歌。移民のことを日本人の心に届けるためにはどうしたらいいかを考えた。日本語で歌うだけじゃ十分じゃない。歌の前に子供の僕とおじいの会話という設定でイントロダクションを挿入することにした。何度も考え、聞き直し、書き直して完成した」

 -「オキナワ・ラティーナ」で披露した時はどうでしたか。

 「歌とビデオを初めて、沖縄コンベンションセンターで発表した。『オキナワ・ラティーナ』はアルベルト城間さんが発起人。仲宗根さんが代表を務め、僕も『オキナワ・ラティーナ』の一員として、参加させてもらった。歌っていると、会場で涙をこぼす観客が僕の目に飛び込んできて、『あ、伝わったんだ』と胸が熱くなった。自分と人々がつながっていると感動した」

 「世界のウチナーンチュ大会や祖父への思い、日本語で歌い、歌を通してみんなとつながることを実感し、胸がいっぱいになって、歌い終わった後には心身ともに感動に打ち震えた。公演後に出演者やスタッフがバックステージで集まった際も言葉が出なくて、普段は全然涙を見せない僕が、ただただ胸がいっぱいで泣いてしまった」

 -大会期間中はさまざまな場所でライブを行った。

 「はい。ライブハウスやレストラン、デパートの特設ステージで歌ったり、ラジオにも8本出演しました。ライブでは10曲ほど披露したが、そのたびにMCを日本語で行うのはなかなか大変でしたね」

 -最後に、ウチナーンチュとしての意識をどう受け止めているか。

 「確かに自分がどこからやってきたかを知ることは大切で、沖縄がルーツだと自覚している。だが僕にはもう一つ、日系人という意識もある。アルゼンチンでは日系人として育ったので、沖縄と本土を切り離して考えることには違和感がある。人は誰でも世界人。そう思っている」