【連載「働く」を考える】

 10トンダンプの運転手をして20年以上の上原正人さん(47)は生コン工場の会社からコンクリート資材の運搬を請け負う個人事業主だ。工場側から1トン当たりの運搬単価が設定されていて、1日にどれだけ運搬できるかが収入に直結する。

常態化していたダンプの過積載問題を報じる2013年の新聞記事を振り返る上原正人さん

 本部町の採石場と那覇市の工場を1日2往復した日当は3万4千円。20日間仕事があれば、ガソリン代などの経費を除いた月収は40万~50万円ほどになる。しかし、これには規制量を超えて資材を積む法令違反の「過積載」をした場合、という前提がつく。

■    ■

 2013年秋、上原さんの月収は10万円を切り、4分の1になった。「ダンプ過積載常態化/生コン工場から『指示』/運転手『断ればクビ』」。13年8月22日の沖縄タイムスにこんな記事が掲載された。公共工事が減る中、建設業界が生コン会社を買いたたき、生コン会社は採算が合わずダンプに過積載をさせるという構図が報道で浮き彫りになった。重量超過で車体はブレーキが効きにくくなり、タイヤの消耗も早いが「だましだまし使っている」危険な状態だった。

 上原さんはその問題の渦中にいた。中古でも600万円前後する車両のローン返済に加え、年40万の車検など維持費がかかる。運搬の単価は県が公共工事で見積もる単価の約半値だったが、過積載することでどうにか収支を保っていた。

 問題発覚を機に、約50人のダンプ運転手が団結。過積載なく収入を確保できるよう単価引き上げを要求した。ダンプの労働組合を通して交渉を重ね、工場側は1トン当たり200円の単価引き上げに応じた。

 だが、その間に工場側はダンプに代わる運搬手段を確保しようとトレーラー業者と契約。1台当たりのダンプ運搬はそれまでの1日2往復から週1~2往復に激減した。「会社に盾突いたことへの報復に感じた」

■    ■

 運転手仲間の多くは、別の工場に仕事を求めた。だが、先回りした工場側がバイト先に運転手名を挙げ「仕事をやるな」と“布令”を出していた。「工場の経営者一族は高級車や豪邸をたくさん所有し財を築いている。それなのに、苦しい俺らをどこまでも追い込み、殺すつもりなのか」。あまりに冷たい仕打ちに、ぼうぜんとなった。

 生活が苦しくなった運転手が次々とダンプを手放していく中、上原さんは公共工事や別の民間工事でなんとか食いつないできた。「工場とダンプの主従関係は昔から変わらない業界の体質。弱い立場の運転手がまとまって条件改善を訴えていかないと、体質は変えられない」。業界の不条理に、声を上げ続けていく覚悟だ。(文中仮名)(学芸部・座安あきの)

あなたの働き方、教えて下さい

 沖縄タイムスは、連載「『働く』を考える」に合わせ、働き方に関するアンケートをホームページで実施しています。あなたの働き方や不満、疑問に思っていることをお聞かせください。(※沖縄県内で働く人が対象です)

アンケートのページはこちら​