1942年2月19日、ルーズベルト米大統領は日系人11万人を強制収容所に送る大統領令に署名した。あれから75年。ロサンゼルスの全米日系人博物館や首都ワシントンのスミソニアン米国歴史博物館で、日系人の歴史を継承する特別展が始まった。

 トランプ米大統領が就任して20日で1カ月。外交分野の思いつき発言や法の支配に対する無理解、事実に基づかないメディア批判、主要閣僚の辞任など、混迷を極める。

 とりわけイスラム圏7カ国からの入国を一時禁止する大統領令は、国内外から大きな反発を招いた。特別展は「歴史に学ばなければ同じ間違いを繰り返す」との思いから、大統領令への批判を込めて企画した、という。

 日本人の移民を全面的に禁じた排日移民法が施行されたのは24年7月。アジア出身者を対象にした連邦法であったが、アジアからの移民の大半が日本人だったため日本の世論は激しく反発、対米感情は急速に悪化した。

 戦後、首相となる石橋湛山は東洋経済新報の社説でこの問題を取り上げ、「米国は不遜」だと批判、返す刀で「日本は卑屈」だとも指摘した(1925年1月31日号)。

 「支那人(ママ)はどうあっても、朝鮮人はどうあっても、日本人さえ、白人の間に同等の待遇を受くれば満足なりとする心は利己的であり、卑屈である」

 トランプ政権下の日米関係はどうあるべきか。それを考えるとき、石橋の論説は示唆的であり、今も学ぶところが多い。

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 当時の緊張した日米関係と現在の日米同盟は、正反対のように見える。実際、「ウマが合う」という意味では、安倍晋三首相とトランプ大統領の蜜月ぶりは、中曽根康弘氏とレーガン氏、小泉純一郎氏とブッシュ氏の緊密な関係をしのぐのではないか。

 だがトランプ氏との関係は安倍氏による手放しの称賛、お世辞という独特の流儀によってつくり出されたもので、安倍氏はトランプ氏から「ういやつじゃ」と頭をなでられたようなものである。2015年4月の米上下両院合同会議での演説、昨年12月の真珠湾での演説もそうだったが、安倍演説の特徴は中国、韓国に対する冷ややかさと米国に対する過剰なまでの従属的姿勢である。

 米国と日本は自由、民主主義、人権という普遍的価値を共有する、と再三強調しながら、入国禁止の大統領令には口をつぐむ。ドイツのメルケル首相などと比べてもその違いは際立っている。

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 政府は13年末に閣議決定した「防衛計画の大綱」を前倒しで改定する方向で検討に入った。トランプ政権との「約束」を「外圧」として利用し、防衛力増強を進めるという考えだ。

 石橋は先の社説で、反米感情を背景に国内で「軍備拡張論」が勃興するのを強く警戒している。

 トランプ氏の政策によって米国内の分断が深まり、思いつき発言によって世界が振り回されているだけに、日本の立ち位置が問われる。