米軍嘉手納基地周辺の住民2万2千人余が、米軍機の深夜早朝の飛行差し止めや損害賠償などを求めた第3次嘉手納爆音訴訟の判決が23日、那覇地裁沖縄支部(藤倉徹也裁判長)である。飛行差し止めに向け、住民側が最も重視して立証した騒音による健康被害を裁判所は認めるのか。判決を前に、争点や、嘉手納の特徴である夜間騒音の現状と健康に及ぼす影響をまとめた。(中部報道部・下地由実子、溝井洋輔、社会部・国吉聡志)

写真を拡大 米軍嘉手納基地を飛び立つF15戦闘機(上)=16日午前9時16分

<住民の健康被害>「毎年4人が死亡」立証

 2011年4月に提訴した第3次嘉手納爆音訴訟で住民側は、(1)午後7時~午前7時まで全ての米軍機の離着陸禁止(夜間、早朝の飛行差し止め)、エンジン調整音などの騒音を40デシベル以下に制限(2)午前7時~午後7時まで騒音を65デシベル以下に制限(3)過去・将来分の損害賠償-を求めている。国側は請求を退けるよう求めている。

 住民側が飛行差し止めの主張で最大の争点と位置づけるのが「騒音と健康影響の因果関係」で、裁判所の判断が注目される。

 住民側は3次訴訟で、夜間騒音に着目。睡眠妨害などを通じ、心臓血管系疾患や精神機能への影響といった健康被害が生じていると主張している。「騒音に起因し同基地周辺では毎年4人が死亡」と主張する専門家の証人尋問も実施した。

 一方で国側は、日本政府には、主権が及ばない米軍機の差し止めを命じることはできないという「第三者行為論」を展開。差し止めや過去分の損害賠償の請求を棄却し、将来分の賠償請求の却下を求めている。

写真を拡大 第3次嘉手納爆音訴訟の争点

<騒音防止協定>年1000回超の違反

 米軍嘉手納基地では、日米が合意した航空機騒音規制措置(騒音防止協定)が形骸化している。深夜・早朝(午後10時~翌朝6時)に70デシベル以上の騒音発生は嘉手納と屋良の両地区で特に激しい。2014~15年度はいずれも年間千回超。屋良地区の16年度は、前年度の1620回を上回るペースで推移。安眠が妨げられる異常が恒常化し、さらに悪化していることが町測定データから読み取れる。

写真を拡大 年度合計回数(回)

 騒音防止協定は深夜・早朝の米軍機の飛行が規制されるが、「運用上必要な場合を除く」との文言によって住民の被害が続いている。

 16年10月には米本国の空軍に所属するF16戦闘機が未明に2日連続で離陸。100デシベル前後の爆音が測定された。100デシベルは「電車通過時の線路のわき」に相当し、長時間さらされると難聴になるとされる。

写真を拡大 深夜・早朝騒音発生回数(22時~6時)

 町は嘉手納と兼久、屋良の3地区で継続的に騒音を測定。「電話のベル(1メートル)」の大きさで、血圧上昇の影響が出るとされる70デシベル以上の回数をまとめている。

写真を拡大 嘉手納町の騒音測定

 最も激しい屋良地区の年間発生は14年度が1403回、15年度は1620回。16年度は2カ月間を残した1月末現在で1495回測定されており、このペースだと2年連続の増となる。