人間、誰かに愛されていると、心が穏やかで強くて優しい人間になれるのだと、この映画を見て痛感した。

 母の愛を知らずに育った少女・トモと、男性として生まれながら女性の心を持つリンコ。そしてリンコの恋人マキオ。トモの母親の家出がきっかけで一緒に暮らすようになった3人が紡ぐ、かりそめの家族の物語。描かれるのは家族がいることの幸せ。子供を産めないリンコにとって、トモとの出会いは奇跡。無限に愛を注げる存在を前に幸せを噛(か)み締める。トモも欲していた「母の愛」のようなものをたくさんくれるリンコという存在を得たことで優しく強く成長する。

 家を一歩出れば社会という戦場。戦いで傷ついた心と体を癒やし合うスクリーンの3人は、深夜に狂喜乱舞の宴で傷を癒やす私とは比べものにならないほど幸せそうだ。(桜坂劇場・下地久美子)

◇同劇場で2月25日から上映予定