国公立大の2次試験が25日にあり、今年の受験シーズンも終盤になっている。志望校を目指し、いつもの楽しみも我慢して机に向かう日々。その悲哀や心情は、フォーク歌手の高石ともやさんのヒット曲「受験生ブルース」が代弁する

▼「受験生ブルース」が深夜放送で流れていた1970年代に福岡市で若者文化の発信地になったのが「親不孝通り」。近くの予備校に通う浪人生が集まり、喫茶店主が勉強もせずに遊ぶ若者に言った冗談が名称に使われるきっかけになった

▼90年代になって、明け方まで騒ぐ若者や暴走族のけんかなどが問題化した。97年、管轄する警察署が「非行を誘発する」として通り名を使わないよう福岡市に要請した

▼当時、朝日新聞社に出向し福岡市政を担当していた同僚がこの問題をよく取り上げた。被害を受けた住民と共に、若者や若者と交流がある関係者の話を丁寧に取材していた

▼福岡市の広報誌に排除の動きが若者の居場所を失うことになる懸念を記した。同僚が交通事故で亡くなった2カ月後の97年9月、名称は変わった。予備校も閉鎖され、徐々に客足は遠のいた

▼住民や商店主らが今月19日、「親不孝通り」の名称の復活を決めた。「慣れ親しんだ名称でにぎわいを取り戻したい」という思いだ。同僚も通りの新たな出発を見守っているだろう。(与那原良彦)