個人の尊厳にもかかわる異例の長期勾留だというのに、司法は人権の砦(とりで)としての役割を全うすることができず、政府の追認機関に成り下がっているのではないか。

 そんな疑念をぬぐい去ることができない。 

 4カ月以上も長期勾留が続く山城博治・沖縄平和運動センター議長について、最高裁第3小法廷は、弁護側の特別抗告を棄却し、保釈を認めない決定を下した。

 山城議長は2016年10月17日、高江のヘリパッド建設に対する抗議行動に絡み、有刺鉄線(2000円相当)を切ったとして器物損壊容疑で逮捕された。

 那覇簡裁は20日、那覇地検の勾留請求を却下したが、地検が準抗告し、那覇地裁はその日のうちに勾留を決定。県警は同日、防衛局職員に対する公務執行妨害などの疑いで山城議長を再逮捕した。

 さらに、1月に辺野古のゲート前でブロックを積み上げ、工事を妨げたとして10カ月後の11月になって、威力業務妨害の容疑で再々逮捕した。

 ヘリパッド建設をめぐる機動隊の強権的な市民排除や、無許可の立木伐採などの法令違反に比べれば、非暴力抵抗の防御的な意思表示ばかりである。

 逃亡の恐れがなく、重い病気を患っているにもかかわらず、いまだに家族との接見すら禁じているのは、国際人権法に反する疑いがある。

 いわゆる「人質司法」が批判され、保釈を認めていく方向に司法が変わりつつあるだけに、なおさら、今回の執拗(しつよう)な逮捕劇と勾留は異様だ。

■    ■

 山城博治さんら3人の即時釈放を求める市民らは24日、那覇市の城岳公園で集会を開いた。参加した人々が口にしたのは、運動に対する弾圧への強い危機感である。

 即時釈放を求める会の仲宗根勇さんは、今回の準現行犯逮捕を「捜査権の乱用」だと指摘、「安倍官邸の沖縄つぶしに裁判所が一役も二役も買っている」と批判した。

 高里鈴代さんは「太陽の下、沖縄への人権侵害がこれほどあからさまになったことはない」と長期勾留の不当性を強調した。照屋寛徳衆院議員は、ある雑誌の対談で鹿野政直・早稲田大学名誉教授が語った言葉を紹介した。「前は山城さんの存在が人々をつないでいた。今は、山城さんの不在が人々をつないでいる」

 日米両政府の中には最高裁判決によって「辺野古問題は終わった」との見方が広がっているが、楽観的に過ぎる。

■    ■

 23日の第3次嘉手納爆音訴訟判決で浮かび上がったのは、「騒音被害が漫然と放置されている」と司法が認めているにもかかわらず、米軍機の運航を規制できない、という沖縄の現実である。

 ヘリパッド建設や新基地建設に対する山城議長らの抗議行動は、理不尽な基地負担に対する「ノー」の叫びでもある。対話や交渉を欠いた、ブルドーザーで敷きならすような強硬一辺倒の基地政策は、沖縄の人々の尊厳を傷つけ、激しい怒りの感情を呼び起こし、事態を一層泥沼化させるに違いない。