全くもって不透明で不可解な取引である。

 大阪府豊中市の国有地が、近隣国有地の約1割の価格で学校法人「森友学園」に売却された問題で、さまざまな疑念が広がっている。

 発端は学園が小学校開校のため購入した敷地8770平方メートルの価格を、国が非公表としたことだ。公表が原則にもかかわらず、国有地処分の透明性に批判が集まった。

 情報公開請求をした地元の豊中市議が非開示決定の取り消しを求め提訴した直後、国は開示に転じた。驚くべきはその格安ぶりである。

 売却額1億3400万円は、不動産鑑定士の評価額9億5600万円から8億円以上も値引きした額だ。

 国は地中のごみ撤去にかかる費用を差し引いたというが、学園が取得した用地に隣接する同規模の国有地9492平方メートルは豊中市が14億2300万円で購入している。

 果たして8億円は妥当なのか。

 ごみ撤去費は、土中のごみの混入率を47%、ごみの量を1万9500トンとし、はじき出されている。

 しかし土砂の搬出に携わった業者の証言によると、実際に掘り出したごみは国の見積もりの5分の1程度。その半分は「処分費がかかるから」と埋め戻したという。

 国の方からごみ撤去費用を見積もって値引きした例はなく、異例の契約だったことも指摘されている。

 国の財産を適正な対価なく譲渡したとなれば財政法違反の疑いも出てくる。

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 森友学園が大阪市内で運営する幼稚園は、戦前の「教育勅語」を暗唱させるなどの教育で知られる。

 その幼稚園で「よこしまな考え方を持った在日韓国人や支那人」など不適切な表現の文書を保護者に配っていた問題も発覚している。

 幼稚園のホームページには学園理事長で幼稚園園長の籠池泰典氏が、翁長雄志知事を「中共の手先かもしれない」などと中傷するコラムも掲載されており、教育機関としての適格性に疑問符がつく。

 釈然としないのは開校予定の小学校の名誉校長が最近まで安倍晋三首相の妻昭恵さんだったことだ。「安倍晋三記念小学校」の名で寄付金集めをしたことも分かっている。

 安倍氏は24日の衆院予算委員会で昭恵夫人が名誉校長を辞任し、寄付金集めに抗議したことを明らかにしたが、「優れた道徳教育」と称賛し名誉校長に就任した経緯についての説明は不十分だ。

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 異例の契約にもかかわらず、財務省が売買を巡る近畿財務局と学園側との交渉や面会の記録を「破棄した」と語っていることにも驚く。

 防衛省が廃棄したとし問題になった南スーダン国連平和維持活動派遣部隊の日報同様、「不都合な文書」は残さないというのが国の姿勢なのか。

 問題は多岐にわたっている。野党が求める理事長の参考人招致に与党は応じるべきだ。

 国民の財産の問題であり、国会で徹底的に真相を究明してもらいたい。